対コロナ戦の勝敗を左右するゴールデンウィークに突入した。この期間に接触機会が全国的に「最低でも7割、極力8割」(安倍首相)に収まるかどうか、日本国民がすべからく試されることになる。コロナ危機が表面化したあと安倍政権は、政策判断で後手に回る機会が多かった。それでも先週までの時点でオーバーシュートを回避し、死亡者数(26日現在)は全国で372人(クルースゼンを除く)にとどまっている。この数は欧米に比べて圧倒的に少ない。理由はいずれ解明されるだろうが、ここに焦点を当てる政治家や専門家、メディアや評論家はほとんどいない。おそらく、そこに注目すると国民の緊張感が緩むこと、政権の評価に繋がることを恐れているのだろう。

だがこの事実は誰が見ても明らかだ。そしてこれを支えているのが自粛要請を受け入れている国民であり、医療現場を支える医師や看護師、その他すべての医療関係者、身を粉にしてクラスター潰しに取り組む保険所、現場に近いところで調整を続ける政治家や公務員など多くの国民である。もたつく政権に代わってワンチームになった国民が、新型コロナとの熾烈な戦いを戦っている。その結果日本はこれまでのところ、諸外国に比べかなり健闘している。これも客観的な事実だ。日本の戦い方を“日本方式”と呼べば、この方式はこれまでのところ、多くの問題を抱えながらもそれなりに成果を上げてきた。そしてゴールデンウィーク。この戦い方の勝敗を左右する分かれ目でもあり、日本方式を支える日本人の底力の見せ所でもある。

対コロナ戦で顕著な成果を見せている国がいくつもある。韓国は圧倒的な数のPCR検査をこなし、陽性と判定された罹患者の隔離や海外からの入国者の検査・管理を徹底している。それにITを使った感染者情報の公開、マスクの国家管理など、あの手この手を尽くして医療崩壊と経済崩壊を回避しようとしている。見習う点がいくつもある。韓国とは反対にスウェーデンはコロナとの共存というユニーク方法を選んでいる。欧米は徹底したロッックアウトで、新型コロナの感染拡大に挑んでいる。いずれの方式も成果を論じるのは時期尚早だが、各国ともそれぞれのお国柄を踏まえたやり方で戦っている。日本は日本方式で戦うしかない。日本方式は国民一人一人の自粛が柱だ。この方式で結果が出れば世界が注目するだろう。