北朝鮮・平壌で開催された朝鮮労働党政治局会議で話す金正恩党委員長=11日(朝鮮中央通信=共同)
北朝鮮・平壌で開催された朝鮮労働党政治局会議で話す金正恩党委員長=11日(朝鮮中央通信=共同)

 【北京=西見由章】北朝鮮の対外宣伝雑誌「今日の朝鮮」は27日までに、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の重体説について「全く根拠のないデマだ」と非難した。北朝鮮の公的メディアが正恩氏の重体説を直接否定したのは初めてとみられる。

 同誌は26日、正恩氏の健康不安説について「デマの最初の出所は南朝鮮(韓国)の下水道に隠れた小ネズミたちだ」と罵(ののし)った。これは、正恩氏が妙香山(ミョヒャンサン)の病院で心血管の手術を受けたと20日に伝えた韓国のネットメディア「デイリーNK」が念頭にあるようだ。

 さらに投稿は、米CNNがこの情報を利用して重体説を伝え「妖言で衆人を惑わせた」と名指しで指弾。続いて「おばさん」がデマを広め、「低俗な外国メディア」がこれを利用したと主張した。

 「おばさん」とは、北京在住で元中国外務省高官を親類に持つ香港メディア幹部を指すとみられる。同幹部は24日、正恩氏への追悼を暗示するロウソク2本の絵文字を微博に投稿。「彼(正恩氏)がいなくても中朝友好は永遠に続く」などと書き込んだことから、中国のネット上では正恩氏の死亡説が一気に拡散した。