新型コロナウイルスのパンデミックにようやくピークアウト感が出てきた。日本では14日に39県の緊急事態が解除され、今週21日に予定されている専門家会議の2回目の評価会議で、残る8県の解除も視野に入ってきた。欧米でもロックダウンの解除が徐々に始まっている。第2、第3の波が襲来する可能性は依然としてかなり高い。ワクチンや治療薬が開発されるまで自粛のタガは緩められない。とはいえ、大きな山は越えたとみていいだろう。とりわけ日本は強権的なロックダウンに踏み込むこともなく、一定程度ウイルスの感染拡大を抑えたことは、世界的にみても評価に値する。

現時点までの評価に過ぎないが、思いつくままに貢献度の高い人を書き出せば、第1に上げるべきは国民だろう。「最低でも7割、極力8割」という接触機会の削減を自ら進んで受け入れた。これを受け入れることによって生活が立ち行かなくなった人もいるだろう。そういう人たちも含めて8割近い削減率を実現したのはすべからく国民である。後手後手の政権に変わって国民が、日本の危機を救ったのだと思う。政治家で言えば吉村大阪府知事、小池東京都知事、鈴木北海道知事の貢献度が高い。独自にPCR検査を推進した仁坂和歌山県知事も存在感を示した。総じて地方の首長の活躍が目立った。ここから新しい政治の流れが始まるかもしれない。

吉村府知事と鈴木道知事は、後手後手の安倍政権とは対照的に来るべき事態に備えて先手先手の対策に打って出た。未知なるウイルスとの戦いに、決まり切った戦術などない。先を予測して自らリスクをとる。間違ったら躊躇なく修正する。両知事ともその手腕が抜きんでていた。政党では自民党と立憲民主党の無能ぶりが際立った。自民党では次期総裁候補の発言が、危機的な状況の中でほとんど目立たなかった。立憲など左派系野党は相変わらず政権批判に徹するだけ。これまでほとんど目立たなかった維新や国民民主は、代替案を提示しながら与党に論戦を挑んだ。コロナ後の政局に新しい可能性を示したような気がする。尾身副座長に代表される専門家会議は、頑としてPCR検査の無秩序な増加に応じなかった。ブレなかった点は評価に値する。