JR品川駅周辺で、マスク姿で職場に向かう人たち=26日午後、東京都港区(宮崎瑞穂撮影)
JR品川駅周辺で、マスク姿で職場に向かう人たち=26日午後、東京都港区(宮崎瑞穂撮影)

 【パリ=三井美奈】新型コロナウイルス対策で、厳しい都市封鎖が続いた欧州では各メディアが、日本が移動や企業活動を法で禁止せずに感染死亡率を低く押さえた理由について分析した。

 フランスで26日付経済紙レゼコーは、日本の死亡率は主要7カ国(G7)で最も低かったと報道。政府の対策は「学校休校の後、国民に互いの接触を制限し、責任ある行動をするよう呼びかけるだけ」だったが、企業はテレワークを多用し、百貨店やカラオケ店は閉店を受け入れたと伝えた。

 国際ニューステレビ「フランス24」は今月初め、日本の衛生へのこだわりに触れた。幼少時からしつけとして、うがいや手洗いを習慣づけられていると紹介。「日本の憲法では個人の自由が守られており、政府は強制措置はとれなかった。自粛要請でも、国民は従った。社会的圧力もあった」と背景を伝え、外出禁止令で違反者に罰金を科したフランスとの違いを伝えた。

 イタリア紙コリエレ・デラ・セラ(電子版)は25日、日本の予防策について「大豆、握手なし、マスク、高い公共心」と題した記事を掲載した。日本は世界一の高齢大国で、憲法上、厳しい都市封鎖ができないという「リスク要因」を抱えながら、感染被害を抑制した要因として、免疫力を高めるとされる納豆が食卓に浸透していることに言及。室内で靴を脱いだり、マスクを着用したりする習慣が、日本人の責任感と相まって成果を生んだとの見方を示した。