民放の番組に出演していた22歳の女性が自殺したとみられる問題でSNS上でのひぼう中傷への対策の必要性が指摘されています。こうした問題は海外でも起きていて、イギリスでは恋愛のもようを追ういわゆるリアリティ番組に出演して中傷され自殺する人が相次ぎ、議論となっています。

シェアハウスで男女が共同生活する様子を記録するフジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー 木村花さん(22)は今月23日、都内の自宅で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡しました。

木村さんのSNS上では番組への出演や言動を非難する投稿が相次いでいて、警視庁は木村さんがひぼう中傷を苦に自殺したとみて調べる一方、SNS上でのひぼう中傷への対策の必要性が指摘されています。

こうした問題は海外でも起きていて、イギリスではおととし6月、島に滞在する男女の恋愛のもようを追うリアリティ番組「ラブ・アイランド」に出演していた32歳の女性が自殺し、去年3月にも同じ番組に出演していた26歳の男性が自殺しました。

亡くなった女性は自殺前、地元ラジオ局の番組で「何千人のフォロワーから大量のコメントを送られると本当に怖い」と話していて、メディアは女性が番組出演後、SNS上でひぼう中傷にさらされていたと伝えています。

またもう1人の男性も番組に出演したあと精神的に悩んでいたと報じられています。

この事態を受け番組を放送する民放テレビ局「ITV」は去年5月、出演者への心理的サポートの拡充や出演した場合の影響のより詳細な説明、そしてSNS上でのやり取りへの対処方法の訓練といった対策を発表しました。

しかし、SNS上で出演者をひぼう中傷するケースはその後も相次いでいて、今月、別のリアリティ番組に出演して中傷された男性がこうした行為を抑止するための法律の制定を求めて署名活動を立ち上げイギリス議会で訴えて、議論になっています。

独仏は規制の法律導入

SNS上でのひぼう中傷に対してはドイツやフランスが事業者に投稿の削除を義務づける法律を導入し、対策を進めています。

ドイツでは2018年1月から、ツイッターやフェイブックなどSNSを運営する事業者を対象に、脅迫や違法と見なされた内容の投稿が報告された場合の対応を規定した法律を導入しました。

法律では利用者が200万人を超えるSNSの運営事業者に対し、違法な投稿の報告から原則、24時間以内、法的な判断が難しければ7日以内にこれを削除することを義務づけたうえで、この期間内に削除出来ないなど規定に違反した事業者には最大で5000万ユーロ(日本円でおよそ59億円)の罰金を科すとしています。

ただ、この法律をめぐっては削除に際して民間の事業者が違法性などを判断することへの疑問や政府による監視への懸念の声も出ています。

またフランスでも今月13日、SNSを運営する事業者を対象に、差別的だったり暴力的、攻撃的だったりする投稿が報告された場合には24時間以内の削除を義務づける法律が制定されました。

この法律でも事業者が規定に違反した場合には最大で125万ユーロ(日本円で1億4700万円)の罰金が科せられるということです。