【北京時事】中国の習近平指導部は、対中圧力を強めたトランプ米政権に譲歩しない強硬な構えだ。米中貿易戦争と同様、米国による香港への優遇措置撤廃などには対抗措置を辞さない方針。米中のデカップリング(分断)や「新冷戦」とも形容される関係悪化の加速が避けられない情勢だ。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は29日の記者会見で、「米側が中国の利益を損なえば、中国はあらゆる必要な措置で断固反撃する」と警告。「香港の安定的繁栄は米国自身の利益にかなう」と述べ、優遇措置撤廃は香港に展開する米企業の利益に反するという「矛盾」を突いた。

 全国人民代表大会(全人代)で香港に導入する方針を決定した「国家安全法」をめぐり、王毅外相は「外部の干渉は容赦しない」と強調。李克強首相は28日の会見で「相手国の核心的利益を尊重しなければならない」と米側に訴えた。習指導部は、香港や台湾など領土や主権をめぐる「核心的利益」で一切妥協しない姿勢を貫く。

 一方、トランプ大統領は29日の記者会見で、中国人留学生らの一部入国禁止も表明した。米大学運営に資金面で貢献する中国人留学生の締め出しは、米側も一定の痛みを伴うため中国側は強気だ。新型コロナウイルスの影響もあり、米国からの帰国者が相次いでいる。在米中国大使館は30日、米国から帰国する留学生向けにチャーター便を手配したと発表した。

 中国メディアは30日未明、トランプ氏の会見に関して世界保健機関(WHO)脱退表明に焦点を当てて速報した。中国はこうした米国の「一国主義」を国際社会と連携しながら批判する対米包囲網の構図を描いており、WHO脱退表明は中国にとって米側の自傷行為に映っている。

 米側の一連の圧力強化に関し、中国では自国の問題ではなく米国の国内事情で説明する論調が広がる。中国国際問題研究院の阮宗沢副院長は「米国は防疫対策に失敗し、大統領選前に中国というスケープゴートを必要としている」と指摘した。