【ソウル=岡部雄二郎】北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は16日、韓国の脱北者団体が金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長を批判するビラを大型風船で飛ばしたことへの対抗措置として、「軍事的行動計画を作成し、党の承認を受けることになる」と発表した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が16日朝、報じた。

 軍総参謀部は行動計画の具体案として、「北南(南北)合意によって非武装化された地帯に軍が再び進出し、要塞ようさい化する」ことなどに言及した。具体的な地域には触れていないが、韓国の聯合ニュースは、南北の経済協力が進められてきた北朝鮮南西部・開城や、南東部・金剛山一帯に軍を駐屯させる可能性があると報じた。南北協力事業の破棄をちらつかせ、韓国への圧力を一段と強める思惑とみられる。

 北朝鮮は今月に入り、南北間の通信を遮断するなどビラ散布への反発を繰り返している。13日には、正恩氏の実妹・与正ヨジョン氏が談話で、「次の対敵行動の行使権は軍総参謀部にわたす」として、軍事行動に出ることを示唆している。