24歳の黒人男性が首をつった状態で見つかったとされる木に風船をくくりつけ、自殺と即断した警察に抗議する人々=13日、米カリフォルニア州パームデール(AFP時事)
24歳の黒人男性が首をつった状態で見つかったとされる木に風船をくくりつけ、自殺と即断した警察に抗議する人々=13日、米カリフォルニア州パームデール(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】米カリフォルニア州で、黒人男性2人が相次いで木の枝から首をつった状態で死亡しているのが見つかり、波紋を呼んでいる。警察当局は初期捜査で、自殺と判断したが、全米で人種差別に反対する抗議デモが続く中、徹底捜査を求める声が強まっている。

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 米国ではかつて、白人が黒人を木の枝にぶら下げて私刑(リンチ)殺害する事件が多発し、人種差別の象徴と見なされている。

 米メディアによると、カリフォルニア州ビクタービルの図書館付近で5月31日朝、マルコム・ハーシュさん(38)が木の枝にUSBケーブルを巻き付け、首をつって死亡している状態で発見された。約80キロ離れたパームデールの市役所付近では今月10日未明、ロバート・フラーさん(24)が木にくくり付けた縄で首をつり、死亡しているのが見つかった。

 地元警察当局は、いずれも事件性を示すものがないとして初期捜査で自殺と判断したが、パームデールでは徹底捜査を求める抗議デモが発生。これを受け、連邦捜査局(FBI)も15日、捜査を監督すると発表した。州司法長官も現地への捜査官派遣を決めた。

 2人の遺族は自殺の兆候はなかったと主張している。ハーシュさんの遺族は地元メディアへの声明で「死ぬ方法は多数あるが、現在の人種問題をめぐる緊張を考慮すると、黒人男性が木で首をつるのはしっくりこない」と訴えた。

 一方、ニューヨーク市マンハッタン・ハーレム地区の公園では最近、木の枝に絞首刑に使うような縄が掛けられているのが見つかった。ニューヨーク州のクオモ知事は16日、ツイッターで「憎悪の典型でこの国の人種差別の過去のあしき象徴」と述べ、「不快だ」と批判。警察で憎悪犯罪(ヘイトクライム)を担当する部署に捜査を指示した。