厚労省は一昨日、新型コロナウイルスの感染状況を調べるために実施した抗体検査の結果を発表した。それによると陽性率は東京が0・10%、大阪が0・17%、宮城0・03%だった。調査対象は感染者の多い東京と大阪、比較的少ない宮城の3都府県で実施された。20歳以上の住民計7950人を無作為に選び、6月初旬から検査をしていた。検査のバラツキを排除するため2つのメーカーの検査機器を使うなど、データの正確性も期していた。その結果がこれだ。ど素人ながらこの結果をみて、「あまりにも陽性率が低い」という印象をもった。

日本の陽性率の低さはPCR検査が少ないせいだと多くの専門家やメディアが指摘してきた。個人的にもそうだと思っていた。だが、今回の抗体検査の結果を見ると、PCR検査が少ないせいではなく、新型コロナに感染している人数が圧倒的に少ないということだ。抗体検査には正確性や精密性という点で問題があるといわれている。それにしても同じような検査を実施しているNY州は、20%近くに達しているというデータもある。ブルームバーグは感染が特に多かったイタリア北部ベルガモでは、「抗体保有率が57%に上った」と伝えている。東京の0・10%という陽性率は理解に苦しむほど低いと言っていいだろう。

同じようなことは、集団免疫を重視するスウェーデンでも起こっている。同国はパンデミックが起こっても学校や小売店、レストランを閉鎖しなかった。結果的に感染者が増え、死亡率も欧米諸国に比べて高くなっていた。そうした犠牲を払って科学者らは「その裏返しとして、免疫獲得の割合が高くなる」考えてきた。同国の陽性率は民間企業の調査によると14%程度の止まっているという。集団免疫の獲得を重視するスウェーデン方式の守護神ともいうべき免疫学者のアンデシュ・テグネル氏は、「集団免疫形成への進展は驚くほど遅い。なぜそうなのか、説明は難しい」と語っている。コロナウイルスの厄介な一面がここにもある。