[28日 ロイター] – 米製薬大手ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は28日、独ビオンテックと開発を進める新型コロナウイルスワクチンについて、先進国への販売価格は米国向けと同水準になるとし、米政府との契約価格を下回ることはないと明らかにした。
ファイザーとビオンテックは先週、米政府から19億5000万ドルを受け取り、新型コロナワクチン1億回分を提供する契約を締結したと発表。1人当たりの費用は2回の接種で39ドルになる見通し。
ファイザー幹部は、世界的な集団免疫を維持するには何年か続けてワクチンを接種する必要があると指摘。免疫が消滅したり、ウイルスが変異するためという。
ブーラCEOはロイターに対し、ファイザーとビオンテックのワクチンが採用するmRNA技術は、免疫消滅とウイルス変異の双方に最適だとし、ワクチンの遺伝情報を修正するだけで新たな型に対応できると話した。
また、欧州連合(EU)とのコロナワクチン供給を巡る協議と並行し、域内の複数諸国とも話し合いを行っていると明らかにした。
ファイザーとビオンテックは前日、最も有望なワクチン候補の大規模な後期臨床試験を開始した。
一方、トランプ米大統領が24日に処方箋薬の価格引き下げに向けて大統領令に署名したことについて、ブーラ氏は「業界が新型コロナワクチンや治療薬の開発に総力を挙げる必要があるときに、大きな妨害になる」と批判。
ファイザーが28日発表した第2・四半期決算は、利益が市場予想を上回ったほか、通期予想を引き上げた。抗がん剤「イブランス」や抗血栓薬「エリキュース」が好調で、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による影響を相殺した。
新型コロナ危機を受け、病院などへの受診が世界的に減少し、売上高が約5億ドル減少したという。
ただ、2020年通期の調整後1株利益予想を2.28─2.38ドルと、従来の2.25─2.35ドルから引き上げた。第3・四半期にはワクチン接種率や患者の受診が回復し始めると想定。通期予想に新型コロナワクチンの収益は含まれていない。
第2・四半期は、受診減少に伴い肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」の売上高が約5%減の11億2000万ドル。全体の純利益は32%減の34億3000万ドルとなった。
一方、イブランスの売上高は7%増の13億5000万ドル。エリキュースは17%増の12億7000万ドルだった。
特別項目を除く1株利益は0.78ドル。リフィニティブのアナリスト平均予想0.66ドルを上回った。
売上高は11%減の118億ドル。アナリスト予想は115億5000万ドル。