11月の米大統領選に向けた共和党の全国大会が24日開幕し、ドナルド・トランプ大統領(74)が候補に正式指名された。大会の開催地は南部ノースカロライナ州シャーロットだが、全米に中継される夜の部は首都ワシントンなど別会場が中心となる。27日の最終日にトランプ氏が受諾演説をし、再選への決意を表明。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)との対決構図が確定する。

 トランプ氏は受諾演説の他にも期間中連日、テレビで発言する予定で、政権1期目の功績と同氏の指導力を前面に押し出す大会となる。初日の24日はヘイリー前国連大使や党所属議員らが相次ぎ登壇し、米国第一主義を掲げた外交・通商政策や大規模減税や保守派の連邦裁判事任命といったトランプ政権の政策成果を強調する。

 また、ブラック・ライブズ・マター(BLM、黒人の命は大事だ)運動への連帯を繰り返し訴えた民主党大会に対抗し、共和党唯一の黒人上院議員であるスコット議員や「黒人だからといって民主党に投票しなくていい」との選挙CMが話題を呼んでいる下院選候補者が登場し、黒人有権者へアピールする。

 一方、6月に自宅前の私道を通るBLMデモ参加者にライフルや拳銃を向け、武器の不正使用で訴追された中西部ミズーリ州の白人夫婦が招待され、銃所持や自衛の権利擁護を掲げるトランプ氏への支持を呼びかける見通しだ。

 大統領選の公約となる政策綱領について、共和党は2016年の前回大統領選の綱領を踏襲し、党大会で新たに採択しない見通しだが、トランプ陣営は23日、「政権2期目に向けた公約」を発表した。

 公約は「あなたのために戦う」と銘打ち、新型コロナウイルスによる打撃への対応として「10カ月間で1000万人の雇用創出」を約束。「年内のワクチン開発」も掲げた。

 対中政策では「100万人分の雇用を中国から米国内に回帰させる」「次世代通信規格5Gの覇権争いに勝利する」と宣言した。また外交では「同盟国に公平な負担を求める」として、米軍駐留費負担などの増額を要求する考えを改めて明記した。【ワシントン高本耕太】