合流新党 予想される代表選の構図

 立憲民主、国民民主両党が合流する新党の「顔」となる代表と党名が10日に決まることになった。150人規模の野党第1党の誕生を華々しくアピールする狙いだったが、皮肉にも首相を選ぶ自民党の総裁選と日程が重なってしまい、埋没する懸念が強まっている。

 代表選は7日告示、10日投開票で、選挙戦は4日間。有権者は合流新党に参加する国会議員に限られることになった。

 候補者の顔ぶれは、立憲の枝野幸男代表(56)と国民の泉健太政調会長(46)となりそうだ。両氏とも週内に立候補表明するとみられる。無所属の中堅議員にも出馬を模索する動きはあるが、国会議員20人以上の推薦人が必要なため、ハードルは高いのが現状だ。

 代表選と同時に、党名についても投票で決める。所属議員は代表と党名をそれぞれ選ぶ。枝野氏は「立憲民主党」、泉氏は「民主党」を推すとみられる。

機先制す枝野氏、泉氏は若さアピール

 現状では、衆院56人、参院33人のほとんどが新党への合流に参加する立憲・枝野氏が優勢だ。立憲の赤松広隆衆院副議長が率いる党内最大グループが支援するほか、国民側の重鎮、小沢一郎衆院議員も1日、枝野氏の支持を表明した。

 枝野氏は1日の党常任幹事会で「自民党の新総裁が選ばれるプロセスとほぼ同時期となったのも、ある意味で必然性がある。7年8カ月ぶりに政権を担う固まりが出来た」と意気込んだ。

 枝野氏は8月31日の会見で、これまで慎重だった消費減税を経済対策として検討していることを明らかにした。国民側が、期限付きの消費減税を打ち出していることを意識し、機先を制した形だ。一方の泉氏は、枝野氏のトップダウンによる党運営について、立憲内にも不満が出ていることを念頭に民主的な党運営を掲げる。46歳の若さで世代交代もアピールする。

 ただ、代表選の埋没感は否めない。突然の安倍晋三首相の辞任表明で、自民党が総裁選に突入。世論の注目も、次の首相選びに集まっているのが現状だ。小沢氏も1日、記者団に「この時期に代表選をやるのは好ましくない。我々の影も薄れてしまう。新党の立ち上げは遅れるばかりだ」と述べた。

 合流新党は結党大会を「大安」の16日に予定していた。しかし、新首相を選出する臨時国会が16日になる見通しと分かり、15日に前倒しせざるを得なくなった。立憲ベテラン議員は「15日は仏滅」と嘆く。(山下龍一)

不参加議員、連合が合流説得

 立憲民主党と国民民主党の合流をめぐり、連合の神津里季生会長は1日、臨時幹部会合後の記者会見で、合流新党に参加しない意向の産業別組織(産別)の組織内議員9人(いずれも国民)について、「粘り強く、丁寧に意思疎通する」と述べ、引き続き合流するよう説得する考えを示した。

 神津氏は、国民の玉木雄一郎代表らが設立を目指す新党について「支援するという考え方には到底行き着かない」とも強調。立憲との新党に合流しない組織内議員らが玉木氏らの新党へ参加することを牽制(けんせい)した。