[ワシントン/パリ 25日 ロイター] – 主要7カ国(G7)の財務相は25日、テレビ会議を開催し、最貧国を対象とした二国間債務の返済猶予の延長を支持することで一致した。同時に、返済猶予の妨げとなっている諸問題に取り組む必要があると強調した。

共同声明では「最も貧しくかつ最も脆弱な国々が、新型コロナウイルスに関連した保健および経済上の課題に対処するに当たり、当該国を支援するために協働することに引き続きコミットする」とした上で、20カ国・地域(G20)とパリクラブ(主要債権国会議)が合意した、最貧国73カ国について年内の債務返済を猶予する債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)の延長を支持すると表明した。

同時に「一部の国々が、国有で政府の管理下にある大規模な金融機関を公的な二国間債権者ではなく商業的な貸し手に分類し、公的債権者と同等の取り扱いや透明性を与えていない」ことに「強い遺憾の意」を示し、非パリクラブの貸し手に対し、全ての政府機関を通じて完全かつ透明性の高いDSSIの実施にコミットするよう求めた。

2人のG7当局者は、「強い遺憾の意」は明らかに中国に向けられたものだと指摘。中国は債務救済を求める国との取引において、国有の国家開発銀行やその他政府が管理する機関の融資を二国間の公式な債務に含めることを拒否している。

ある当局者は「誰もが中国の透明性とコミットメントの欠如に失望していた」と明らかにした。

麻生太郎財務相は会議後に記者団の取材に応じ、最貧国の債務返済を猶予する取り組みについて「中国の参加が全く不十分」との考えを伝えたことを明らかにし、「本格的な債務救済に当たっては、中国を含めて全ての債権者の公平な負担を確保することが不可欠であると申し上げた」と語った。

新型ウイルス感染拡大で低所得国が特に大きな痛手を受けており、1億人以上が極度の貧困状態に陥る恐れが出ている。G7財務相は、現時点で合意済みの債務返済猶予に加え、一部の国では一段の支援が必要になる可能性があるとし、G20およびパリクラブに対し、10月14日に予定されるG20財務相会合までに、こうした債務の再編に向けた共通条件について合意するよう呼び掛けた。

G7財務相声明は、G20が4月に合意した暫定的な債務返済猶予措置は目的を達成できていないとの見方を反映。同措置の下、これまでに43カ国の合計50億ドルの債務返済が猶予されたが、目標の120億ドルを大幅に下回っている。

G7財務相は、DSSIの延長は国際通貨基金(IMF)融資を要請する形で実施されるべきとし、実施状況の改善に向けた新たなタームシートと覚書(MOU)の策定を呼び掛けた。

世界銀行のマルパス総裁は、G7財務相による債務返済猶予延長支持を歓迎するとツイッターに投稿した。

こうした中、G20は25日、国内資本市場の開発や民間部門の投資を促進するための取り組みを含め、発展途上国に対する長期的な融資を確保するための構造的アプローチを検討していると表明した。

サウジアラビアのG20事務局は声明で、これまでに46カ国がDSSIの下で救済を申請したと明らかにした上で、「全ての主要な二国間公的債権者は、この困難な時期に最も脆弱な国々に対する債務返済手続きの停止に引き続きコミットしている」と述べた。