[東京 26日 ロイター] – 菅義偉首相は26日朝(日本時間)、ビデオ形式で参加する国連総会の一般討論演説で、新型コロナウイルスのワクチン開発や途上国支援、国連の重要性などを訴えるとともに、2021年の東京五輪・パラリンピック開催に向けた決意を示す。

国連総会は今年、新型コロナウイルスへの対策でオンライン形式で開催される。

<対コロナ特許権プール提案>

菅首相は新型コロナ感染症の拡大について「世界の人々の命・生活・尊厳、すなわち人間の安全保障に対する危機」との認識を示し、「今回の危機に際し、『誰の健康も取り残さない』との目標を掲げることが重要。こうした目標を皆さんと共有したい」と訴える。

このため「新型コロナから命を守るため、治療薬・ワクチン・診断の開発と、途上国を含めた公平なアクセスの確保を全面的に支援する」と述べ、特許権プールの枠組みを提案すると表明する。

その一環として、すでに打ち出してきている対外支援策に関連し、「1700億円を超える医療・保険分野での対外支援を実施する」とし、さらに「途上国の経済活動を支えるため、2年間で最大5000億円の緊急支援円借款を実施している」と説明する。

<安保理改革など国連改革訴える>

米中対立激化が懸念される中、「国連と多国間主義の重要性」を改めて強調する。国連には、中立・公正なガバナンスが一層求められているとの認識を示し、21世紀の現実を反映した形での「安保理改革を含め、国連改革は待ったなしの課題」と述べる。同時に「国連平和維持活動(PKO)や平和構築における国連の取り組みは引き続き不可欠」と指摘する。

海洋進出を進める中国などを念頭に「法の支配への挑戦を許してはならない」との見解を示したうえで、「日本は、世界的な法の支配に基づく地域の平和と繁栄の礎である『自由で開かれたインド太平洋』を推進する」と述べる。

対北朝鮮では「拉致問題の解決には一刻の猶予もない。日本として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えに変わりはない」との従来見解を繰り返す。

最後に「来年の夏、人類が疫病に打ち勝った証として、東京オリンピック・パラリンピック大会を開催する」と決意を表明する。