ミラー米大統領補佐官=7月15日、ホワイトハウス(EPA時事)
ミラー米大統領補佐官=7月15日、ホワイトハウス(EPA時事)

 【ワシントン時事】新型コロナウイルスに感染し3日間の入院生活を送ったトランプ米大統領が戻ったホワイトハウスで、側近の感染が相次いで発覚した。執務区画があるウエストウイング(西棟)は「ほぼ無人」(ニューヨーク・タイムズ紙)。大統領選を4週間後に控えた政権中枢は、さらなる感染拡大におびえる異常事態に陥っている。

トランプ氏、執務本格再開 国民向け演説も準備

 トランプ政権では6日、移民政策を担当するミラー大統領補佐官が新型コロナ感染検査で陽性だったと公表した。ヒックス大統領顧問、8月末に退任後もホワイトハウスの行事に参加していたコンウェー元大統領顧問らに続く感染発覚で、いずれもトランプ氏の最側近とされる。

 議会でも共和党上院議員3人の感染が分かり、同党のマコネル上院院内総務は2週間以内に予定していた本会議での全採決の先送りを決定した。米軍では沿岸警備隊副司令官の感染を受け、制服組トップのミリー統合参謀本部議長ら複数の米軍幹部が自主隔離に入った。

 自らも感染を公表したマクナニー大統領報道官は6日、FOXビジネスのインタビューで、感染者続出によって政府機能に支障が出ることは「全くない」と強調した。一方、ロイター通信によると、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は同日、感染拡大について「防ぐことができた」と述べ、政権中枢のウイルス対策が不徹底だったことを嘆いた。

 トランプ氏は退院後、ホワイトハウスの居住区画にとどまり、出入りするスタッフは厳重な感染予防策を講じているとされる。だが、本人は政治活動再開に前のめりで、ブルームバーグ通信は6日、トランプ氏が「退院後24時間もしないうちに、オーバルオフィス(大統領執務室)へ戻ろうとしている」と報じた。