米司法省がGoogleの提訴に踏み切った。反トラスト法、日本で言えば独占禁止法違反の疑いである。「GAFA」(ガーファ)と呼ばれる米国を代表する巨大IT企業というだけではない。Googleは衰退しつつある米国経済を支える企業の一つである。その企業を訴えるというのだから司法省もすごい。最終的には企業分割という判決が下る可能性がある裁判だ。一部にはトランプ大統領が、2週間後に迫った大統領選挙を意識して打ったオクトーバー・サプライズとの見方もある。だが、それはない。この提訴が米国の有権者の投票行動に影響するとは思えない。朝日新聞は「巨大IT企業に初めて切り込む歴史的な訴訟」と表現する。判決次第で世界中のビジネスモデルが変わる可能性もある。「過去数十年間、IT大手に寛容だった米国の競争政策が、転換点を迎えている」(朝日新聞)。本当だろうか。

TwitterやFacebookはこのところトランプ大統領と衝突するケースが多い。それに比べるとGoogleは、表面的には大統領との摩擦を控えているように見える。そのGoogleを司法省はなぜいま提訴したのか。選挙を意識した大統領選の判断との見方がある。それよりは、どさくさに紛れて司法省がトランプ大統領を利用した、個人的にはそんな気がして仕方がない。数ある検索サイトの中でGoogleは圧倒的なシェアを誇っている。米国内でのシェアはなんと95%に達しているそうだ。まさに独占企業。アンドロイドやアイフォンでは初期設定にGoogleが搭載されている。これが反トラスト法違反ということらしい。個人的には検索のほぼすべてをGoogleに頼っている。ときたまYahooを使うこともあるが、自然にGoogleでググっている。習慣というよりは、指先が自然に動いているといったほうがいいかもしれない。

司法省はGoogleの検索が「消費者に不利益をもたらしている」ことを証明しなければならない。正直にいって個人的に不利益を感じたことはない。Googleの独占が排除された暁に、どんなにすごい検索が登場するのか想像もできない。日経新聞によるとフロリダ大学のマーク・ジェイミソン教授は「不利益の証明は難しい」と指摘する。一方、連邦取引委員会(FTC)のウィリアム・コバシック元委員長は「被りそうな不利益を示すだけで十分」と説明、専門家の間でも見解は分かれる。米中の覇権争いは先端技術の開発競争という側面を含んでいる。国家と企業が一体化する中国に対して米国は、国家と巨大企業が消費者の利益のために争う。判決の行方は分からないが、最高裁までもつれこむことは間違いない。時間もカネもかかる。それでも提訴する司法省。受けてたつGoogle。衰退しつつあるとはい、このへんに米国の健全性があるような気がする。