11月3日に投開票される米大統領選挙が波乱含みになっている。欧米で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、トランプ大統領は激戦区で大規模集会を矢継ぎ早に開催、最後の巻き返しを図っている。米東部のフィラデルフィア市では警察官による黒人男性射殺事件が発生、抗議デモが拡大する一方で暴動や略奪が繰り返されている。バイデン候補も略奪などに厳しい態度を示さざるを得なくなっているが、暴動の拡大は法と秩序を重視するトランプ大統領に有利との説まで飛び出した。株式市場が乱高下を繰り返す中、7−9月期のGDPは年率で33.1%増と予想を超えて急回復。期日前投票は8000万人を超え、投票率は過去最高になると予測されている。激戦州でトランプ氏が急速に巻き返しているとの見方も浮上しており、勝つのはどっちだ、相変わらず判然としない。

そんな中で注目されるのが開票状況だ。各州で開票手続きがまちまちなうえ、期日前投票、郵便投票が急増。開票自体がスムーズにいかないとの見方が増えている。最大の注目州はフロリダだ。選挙人の数が29人と多いうえ、2000年のブッシュ対ゴアの争いでは開票の不手際から最高裁の判定に持ち込まれた。ところがそのフロリダ州が様変わりの変身を遂げているという。ブルームバーグ(BB)によると「フロリダ州では期日前に投じられた票や郵便票の計数装置による読み込みが既に行われており、大統領選当日である11月3日が始まるころに大部分の集計を終える見通しだ。コンピューターは午後7時(日本時間4日午前9時)の投票締め切りとほぼ同時に集計結果を出せる状態だ」という。投票締め切りと同時に事前投票分でバイデン氏が勝てば勝負はジ・エンド。トランプ氏の敗北が実質的に決まるだろう。

逆にトランプ氏が優勢だと厄介なことになる。開票作業が進むに連れてバイデン氏が巻き返す展開が予想される。問題は激戦州だ。ペンシルベニアやウィスコンシン、ミシガンは選挙当日まで郵便票の集計を州法が認めていない。当然のことながら開票は手間取る。世界中が注目する中で遅々として進まない開票。開票が進んでも劣勢に立つどちらかの陣営が再集計を要求するだろうし、開票はかつてのフロリダのように混乱する。フロリダ州の事前投票で優勢になったトランプ陣営は早々に勝利宣言をするだろう。それに抗議して暴動が起こるかもしれない。そのフロリダ州も開票結果の差が0.5ポイント以下の場合、州法に基づき再集計が命じられるのだそうだ。BBによると両者の支持率は、27日時点でトランプ氏が0.4ポイントリードしているという。なんとなく波乱を予感させる数字だ。来週は世界中が開票で混乱する米国を目の当たりにするだろう。