日本時間の3日午後8時から注目の米大統領選挙の投票がはじまる。同4日午前9時に一番早い東部諸州で投票が締め切られ、開票がはじまる。どちらが勝つか、投票がはじまる前に結果を予想しておこうと考えた。予想したからといって、何がどうなるわけではない。だがこの数カ月、いや1年以上前から米大統領選挙に絡むニュースを熱心に読んできた一読者として、自分なりの予想を書き記しておきたかった。最後の最後まで悩んだ。最終的な結論は「トランプ勝利」である。理由はトランプの大胆な減税策によって米国の家庭は可処分所得が大幅に増えた、これがトランプの勝因だ。コロナ禍でトランプ大統領の経済政策は失速したとの見方がメディアの大勢である。だが、個人的にはそうは思わない。トランプ大統領のMake America Great Againは米国民の懐を大いに潤したのである。

主要メディアはこの間一貫してバイデン有利の報道を続けてきた。ABC、CNN、CBCといったテレビ局をはじめ、New York Times、Washington Postなどリベラル系の新聞社を含め、大手メディアは最初から最後までバイデン候補優勢と世論をリードしてきた。終盤になって申し訳程度にトランプ候補が急追と書いたメディアもあるが、大勢は一貫してバイデン候補優勢だった。まるで情報操作のような徹底ぶりだ。日本のメディアはいまに始まったことではないが、大方は米大手メディアの焼き写し。日本のテレビ局が放送している雰囲気は、米テレビ局のメインストリームとみていいだろう。問題は4年前のトランプ対クリントンの対決に似通っていることだ。メディアは軒並みクリントンの勝利を確信していた。結果的には誤報だったが、あの時メディアは真摯に反省したはずである。その反省は今回生かされたのだろうか?

これまでの報道を見る限り、民意の中に潜む“隠れトランプ”の実態を説得力ある形で抉り出したメディアは見当たらない。ネットでは様々な情報を発信している人たちがいる。だが、大手メディア、とりわけリベラルと見られているメディアは言葉遣い、根拠のない主張、弱者に寄り添わない態度など、バイアスをかけながらトランプ大統領を批判してきた。個人的にはトランプは嫌いなタイプだ。だが、問題はトランプ個人の資質ではない。多様化している民意の実態にメディアがどれだけ肉薄したかである。4年前の誤報は民意を掴み切れないメディアの実態を曝け出した。4年かけてもメディアの歩みは遅々としている。黒人に対する暴行は大きく取り上げても、その後に続く暴動や略奪には大きなスペースを割かない。トランプ勝利予想の決め手は、実は経済ではない。一度あることは二度ある。メディアが予想する大勢の反対側に正解があるような気がするからだ。