[11日 ロイター] – 英製薬大手アストラゼネカは、自社開発の新型コロナウイルスワクチンとロシア製ワクチン「スプートニクV」を組み合わせた臨床試験(治験)を開始する。ワクチンの有効性を高めることが狙い。ロシア政府系ファンド「ロシア直接投資基金(RDIF)」が11日発表した。

治験は年内に開始され、ロシアは有効性が証明されれば新たなワクチンを共同で製造したい考え。

アストラゼネカは声明で、異なるワクチンの組み合わせを評価する方法を検討しているとし、スプートニクVを開発したロシアのガマレヤ研究所と共同でワクチン2種の組み合わせに関して近く治験を開始すると表明した。

同社は詳細を明らかにしなかったが、ロシア側は18歳以上の成人を対象とした治験の登録を始めると発表した。

今回の共同治験は、ロシアにとってスプートニクVに対する欧米メーカーの信頼性を得る機会になる。ロシアの開発者によると、現在も行われている治験では、有効性が90%を超えるという。これは、アストラゼネカのワクチンよりも高く、米ファイザーやモデルナのワクチンと同程度の効果になる。

一部の欧米科学者は、ロシアが安全性と有効性を検証する治験が完了する前に規制当局にゴーサインを出し、大規模なワクチン接種を開始したことを懸念しているが、ロシア側はこうした批判には根拠がないと反論している。

アストラゼネカは先月23日、英オックスフォード大学と共同開発するワクチンの治験中間結果で全体の有効率が70.4%になったと発表。当初発表された有効率90%を証明するにはまだ多くの作業が残され、実用化が遅れる可能性がある。