米国でファイザー製ワクチンの接種が昨日からはじまった。ロイターによると一番手はロングアイランド・ジューイッシュ・メディカル・センターの集中治療室(ICU)で働く看護師のサンドラ・リンゼイさんだった。ワクチンの投与が本格化し感染者数世界最大の米国で感染が収束すれば、コロナとの戦いで人類の勝利が見えてくる。一方ヨーロッパはコロナ危機が深まる一方だ。ドイツのメルケル首相は2日に導入したコロナ対策を、来年1月10日まで継続することを決めた。年末年始、ドイツで営業が認められるのはスーパーマーケットや薬局、銀行など必要不可欠な店舗のみ。クリスマスも年末年始の行事も今年は大半が中止される。ワクチンという希望はあるが、この年末年始はかつてなく厳しい巣篭もり生活を余儀なくされる。

気になるニュースもある。英国のハンコック保健相は14日、イングランド南東部を中心に1000人超が新型コロナの変異種に感染したことが確認されたと明らかにした。ようやくワクチンの投与が始まった矢先に、一方では変異種が登場する。変異種にもワクチンは効くのだろうか、心配の種は尽きない。だが、別の記事では世界保健機関(WHO)で緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏がこの変異型について、「従来型と異なる様相を示す証拠は現時点で得られていない」と述べている。これはちょっと安心できる記事。同じ記事の中でイングランドのクリス・ウィッティー主席医務官は、変異型のウイルスが従来型と異なる症状を引き起こす事実は確認されていないとしつつも、「今回の変異はこれまでよりも変異部分が多く、特に深刻に受け止めている」と話している。記事の一言一句に一喜一憂する日々だ。

日本ではGoToトラベル産みの親ともいうべき菅首相がとうとうGoToトラベルの一時停止に踏み切った。28日にから来年1月11日までの間、日本中でGoToトラベルが中止される。さすがの菅首相も新型コロナの感染拡大には抗しきれなかったようだ。GoToが停止されても感染拡大が収まるわけではない。温度が下がればウイルスは活気づく。日本だけではない北半球のあらゆる国が、冬に向かって新型コロナの感染拡大に悩まされている。目先感染拡大を抑制する特効薬もない。3蜜を避け、不要不急の外出を避け、マスクと手洗いを励行し、大声を出さない。要するに「新しい生活様式」を徹底する以外に手はないのだ。これはある意味では日本人の得意とする対策でもある。聞き飽きた対策を何回も何回も、黙って黙々と実践する。これ以外にいまのところ新型コロナウイルスを退治する妙手はない。