つい最近、原因不明の腹痛と腰痛に見舞われている。腹痛の方は2、3日経過観察したが改善しない。そのうちに腰痛も併発した。こうなると内臓の異変に起因する疾患の連鎖か、不安が不安をよんで拡大する。仕方なく近所にある病院に行ってきた。CT検査に腰部、腹部のレントゲン撮影。飛び込みにもかかわらず最大限の診察をしてくれた。内科と整形外科医の診察も受けた。結果は「急を要する原因はありません」(内科医)とのこと。整形外科医は「脊髄の歪曲変異は多少ありますが、加齢によるものでしょう。しばらく様子を見ましょう」との診察。腰痛が酷くなっていると訴えたところ、鎮痛剤と湿布薬を処方してくれた。個人的には未知なる症状との遭遇である。わからないことが不安を増幅する。患者にとっても医者にとっても、一番困る状況だ。

鎮痛剤が効いたのだろう、症状に改善の兆しが見られる。そんな中で今朝、NHKのニュースサイトで次の記事をみつけた。タイトルは「『老化細胞』死滅させ体の機能改善へ 東大などのグループ」。加齢に伴う体の衰えや病気などの原因の1つとされる「老化細胞」を死滅させることで、体の機能を改善させることに東大などのグループがマウスを使った実験で成功したと発表しました、とある。そうか、老化細胞か。腹痛と腰痛の原因はこれだ。ど素人が勝手に解釈して納得する。それだけでなんとなく気分がスッキリするから不思議だ。研究グループは、「老化細胞」は「GLS1」というたんぱく質が働かなくなると死滅することを突き止め、年を取ったマウスにこのたんぱく質の働きを止める薬を投与したという。その結果、「老化細胞」が死滅し、血糖値の異常や動脈硬化などの症状が改善することが確認できたという。

病は気からとはよく言ったものだ。原因がわかれば病気は半分治ったようなものだ。老化細胞を死滅させる薬を投与されたわけではないが、わかったと思い込むことよって体内に「GLS1」を制御する物質が分泌されたのかもしれない。あくまで根拠のない個人的な楽観論に過ぎない。だが、久しぶりに訪れた病院が新型コロナの影響で空いていたこと、困った時に相談できるホームドクターが必要なこと、久しぶりの診察を機に医療に関する過去、現在、未来に思いを馳せてみた。新型コロナで医療体制が逼迫していると連日報道されている。逼迫を回避しピラミッド型の医療体制の頂点に余裕をつくるためには、底辺である開業医の徹底的な増員が必要ではないか。なんでも相談できる質の高い開業医が身近にいれば、わざわざ大病院に足を運ぶことはない。開業医の増員、これが医療復活の近道ではないか、そんな気がした。