[ニューヨーク 27日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが上昇。新型コロナウイルスの先行きが不透明な中、米連邦準備理事会(FRB)が景気回復ペースを巡って懸念を示したことから投資家の間で警戒感が広がり、安全とみられるドルが買われた。

株式市場では売りが膨らみ、ダウ工業株30種は600ドル以上値下がりした。

シリコンバレー・バンクのシニアFXトレーダー、ミン・トラン氏は「米国内でコロナワクチン展開の有効性を巡ってかなりの不安があり、明確なリスクオフ相場となった」と述べた。

FRBはこの日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、経済活動と雇用の回復ペースがここ数カ月で鈍化したとの認識を示し、感染拡大で最も大きな痛手を受けた部門に脆弱性が集中していると指摘。公衆衛生を巡る危機が引き続き経済活動、雇用、インフレの重しになり、経済見通しに対する大きなリスクになると表明した。

ウエスタンユニオン・ビジネスソリューション(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「FRBの一段と慎重なメッセージがドルの下支えになった。FRBが最近の回復ペースの減速を指摘したことで、短期的な見通しに対する懸念が強まっている」と述べた。

ドルは通貨バスケットに対し0.53%高の90.636。一時90.896と今月18日以来の高値を付けた。

ユーロ/ドルは0.48%安の1.2101ドル。ドイツ政府は、今年の経済成長率見通しを3.0%と昨秋時点の4.4%から大幅に引き下げた。

豪ドルは1.08%安の0.7664ドル。一時0.7642ドルと今月4日以来の安値を付けた。

ポンドは対ユーロで8カ月ぶり高値を更新。英国でのワクチン展開が欧州連合(EU)よりも進んでいることが材料視された。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは値下がりし、一時3万ドルを割り込んだ。その後は5.6%安の3万0686ドル。今月8日に付けた4万2000ドルからは27%下げているが、昨年10月中旬の水準からはなお約174%値上がりしている。

ドル/円 
 NY終値 104.09/104.12
   始値 103.83
   高値 104.19
   安値 103.81

ユーロ/ドル 
NY終値 1.2108/1.2112
   始値 1.2115
高値 1.2128
安値 1.2058