[ローマ 3日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏は3日、イタリアの新政権樹立に向け議会の支持を得る自信があるとし、マッタレッラ大統領による首相候補指名を受け入れる意向を示した。

マッタレッラ大統領はドラギ氏と会談し、新型コロナウイルス危機と深刻な景気後退に対応する新政権樹立を要請。欧州連合(EU)復興基金から2000億ユーロ(2430億ドル)を超える支援を受けるために新政権を直ちに発足する必要があるとした。

ドラギ氏は会談後の声明で「今は困難な時期だ」とした上で、「パンデミック(世界的大流行)を克服し、ワクチン接種を完了させ、国民の日常的な問題に答え、イタリアを再稼働させることが直面する課題だ」と指摘。「われわれには自由に使えるEUの膨大な資金がある」とし、この機会を逃さないようにしなければならないと述べた。

ただ、ドラギ氏が十分な支持を得られるかは不明。議会で最大議席を握る連立与党の左派「五つ星運動」は不支持を表明した。

ある関係者は、ドラギ氏が支持を得るため既存の連立パートナーに閣僚ポストを与える可能性があると指摘した。

他の連立与党の中道左派「民主党(PD)」はドラギ氏の首相候補指名をおおむね支持したが、党幹部は「他党の動向との関連で何をすべきか考える必要がある」とした。

こうした中、極右政党「同盟」の関係者は、ドラギ氏が1年以内に選挙を実施すると確約すれば支持すると話した。また、極右「イタリアの同胞」のメローニ党首は、「同盟」や中道右派「フォルツァ・イタリア」との協議後、「ドラギ氏の信任投票で棄権することが最大限の妥協だ」とした上で、ドラギ氏が新内閣を組閣することが既定路線との考えを示した。