ソフトバンクグループは出資先である韓国の電子商取引大手クーパンが今週実施する新規株式公開(IPO)で、大きな利益を手にする見込みだ。ソフトバンクG創業者の孫正義氏のスタートアップ選択眼は批判されることもあるが、正しかったことを示す証拠がまた一つ増える。

  クーパンがIPO価格レンジを引き上げたことから、同社株約35%を保有する筆頭株主のソフトバンクGは最大160億ドル(約1兆7400億円)の未実現利益を報告する可能性がある。同社のビジョン・ファンドが1四半期中にポートフォリオ企業から計上する利益としては、2017年の決算発表開始以降で最大となる。

クーパン、IPO価格レンジ引き上げ-最大4400億円超の調達狙う

  シェアオフィス事業の米ウィーワークや金融ベンチャー、グリーンシル・キャピタルへの出資が誤算となり、孫氏には厳しい批判が集まった。だが、クーパンのような一連の成功例が損失を埋め、ビジョン・ファンドは直近の2四半期に過去最高益を上げた。昨年12月のドアダッシュIPOによる含み益は110億ドル。

ソフトバンクG純利益1兆円超、ファンド好調で3四半期連続黒字 

Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp., attends a news conference in Tokyo, Japan, on Wednesday, Aug. 7, 2019. SoftBank reported first-quarter profit that beat the highest analyst estimate thanks to valuation gains from Vision Fund investments such as Slack Technologies Inc. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ユナイテッド・ファースト・パートナーズのアジア調査責任者、ジャスティン・タン氏はクーパンについて、「ある意味で、大きな利益を上げるために大規模に投資する孫氏のスタイルの正しさを証明している」と述べた。

  米証券取引委員会(SEC)に9日提出された文書によると、クーパンと同社株主は1株当たり32-34ドルで1億2000万株を公募・売り出しする。これまでの目論見書では、公開価格のレンジは27-30ドルだった。公開価格がレンジ上限の34ドルに決まった場合、IPO規模は40億8000万ドルとなり、発行済み株式数に基づくクーパンの企業評価額は約580億ドルとなる。

Company data

  ブルームバーグのデータによると、今回のIPO規模はアジア企業の米上場としては過去最大級の一つとなる。孫氏のこれまで最大の成功例は14年のアリババグループによるIPOで、250億ドル規模だった。

アリババIPO、世界最大の250億ドル-引受機関がオプションを行使

原題:SoftBank Poised to Reap $16 Billion Profit as Coupang Boosts IPO (抜粋)