9000億ドル(約98兆3000億円)規模のローン担保証券(CLO)市場に、有力プレーヤーの多くが戻りつつある。昨年は大半を様子見したこうした企業の復帰によって、CLO市場はこれまで以上に熱気を帯びる可能性がある。

  事情に詳しい複数の関係者が語ったところによると、CLO市場で最大規模の買い手だった農林中央金庫が再び購入を検討し始めた。昨年ほとんど姿を見せなかった米ウェルズ・ファーゴも戻ってきた。米フィデリティ・インベストメンツはすでに高利回りを求めてCLOの保有を増やした。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、以前は時々CLOを購入する程度だったが現在は数十億ドル規模を購入し、さらに買い増す計画だ。

関連記事
農中:CLO評価損は400億円弱に縮小、上期の新規投資はゼロに
ゆうちょ銀:CLO残高2兆円超に拡大、評価損は1112億円にー12月末 

  有力企業の回帰はCLO市場の復活にとって重要な一歩となる。同市場は昨年の大半、低迷していた。CLOに対する投資家の需要増は、レバレッジドローンへの資金流入増加とも解釈できる。CLOはレバレッジドローンを証券化した商品だ。ここに資金が流れ込めば、プライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社はレバレッジドバイアウト用の資金をより多く調達できる可能性がある。一方で、金融当局がここ数年警告してきたような過剰融資をあおる恐れもある。

  CLOは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で大量に格下げされるとみられていた。しかし、投資家が恐れていたそうした事態は結局起きず、それが比較的高利回りのCLOへの需要回復につながっている。

  公に話す権限がないとする関係者によると、BofAは最上位格付けのCLOを安定的に購入するプログラムを立ち上げた。モルガン・スタンレーの調査によれば、BofAが昨年末時点で保有していたCLOはわずか8000万ドル相当だった。

  カーライル・グループの米国ローン、ストラクチャードクレジット業務責任者、ローレン・バスマジアン氏は「振り子は非常に大きく揺れている」と述べ、「2020年に姿を見掛けなかった投資家の多くが戻ってきた」と指摘した。

原題:Biggest CLO Buyer Plots Return, Joining BofA and Pimco in Market