[東京 13日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は13日午後の参院財政金融委員会で、日銀が保有している上場投資信託(ETF)の残高について、簿価ベースで34─35兆円、時価ベースで40兆円程度だと明らかにした。

その上で、管理手数料はETF保有者が等しく負担するものであり、特別に日銀に対してだけ手数料引き下げを求めるのは現実的ではないと述べた。

資産運用会社に対してETFの管理手数料の引き下げ競争を促すような仕掛けをつくってはどうか、という渡辺喜美委員(みんなの党)の質問に答えた。

日銀広報は、黒田総裁の時価ベースで40兆円程度との発言について、昨年9月末時点の数字だと明確にした。

日銀が今年3月の金融政策の点検で長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%程度と明示したことについて、黒田総裁は、これまでやや幅を持って表現していたものを明確化したとし「変動幅を拡大したものではない」と改めて説明した。長短金利を引き下げる必要があった場合、マイナス金利を深掘りする可能性もあるが、その際に金融機関の収益力に対する影響を緩和するための措置も導入したと語った。

中国のデジタル人民元の発行目的について、黒田総裁は、決済システムの効率性向上や金融システムの安定化といった狙いがあるという中国人民銀行の説明を引用。その上でデジタル人民元をはじめ、海外の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の動向をしっかりみていきたいと述べた。