[東京 14日 ロイター] – 東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が辞任の意向を固めたことがわかった。事情に詳しい関係者がロイターに明らかにした。英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが買収を提案する中で、事態は一気に流動化してきた。

複数の関係筋は13日、東芝が14日に臨時取締役会を開いて車谷氏の進退について協議する方向だと明らかにし、本人が自ら辞任を申し出る可能性もあるとしていた。

東芝を巡っては、車谷氏が日本法人会長を務めていたCVCが買収の初期提案を提示。CVCは正式提案を経て条件交渉を始め、日本の当局を含めて合意できれば株式公開買い付け(TOB)を通じて非公開化を進める方向だ。一方、英紙フィナンシャル・タイムズによると、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が対抗案を出す見通し。

車谷社長は元三井住友銀行副頭取で、CVC日本法人の会長兼共同代表を経て、2018年に東芝の会長兼CEOに就任した。企業統治(コーポレートガバナンス)や資本政策を巡って大株主のアクティビストと意見が対立し、昨年の定時株主総会では車谷社長の再任への賛成率は約57%に低下していた。

東芝は米原発子会社が巨額損失を計上し、経営危機に陥ったことから、17年に6000億円の第三者割当増資を実施した。その際、もの言う株主であるアクティビストの保有比率が高まった。

CVC提案の非公開化は、東芝にとってアクティビストとの対立が解消に向かい、経営判断が速まるとの見方がある。一方で、CVC日本法人のトップだった車谷社長のほか、藤森義明社外取締役がCVC日本法人の最高顧問を務めていることなどから、CVCとの利益相反を疑われかねないとも指摘されていた。