[北京 12日 ロイター] – 4月の中国の新規銀行融資は予想以上に減少し、マネーサプライ伸び率は21カ月ぶりの低水準となった。中国人民銀行(中央銀行)は、新型コロナウイルス危機を受けて実施した刺激措置を徐々に縮小し、過熱感のあるセクターの債務や金融リスクの抑制に動いている。

人民銀行が12日発表した4月の新規人民元建て融資は1兆4700億元(2282億1000万ドル)。3月(2兆7300億元)から減少し、アナリストの予想(1兆6000億元)を下回った。

新型コロナ危機を受けて当局が大規模な刺激措置を実施した前年4月の1兆7000億元も下回った。

4月末時点の人民元建て融資残高は前年比12.3%増で、2020年2月以降で最も鈍い伸びにとどまった。3月の伸び率は12.6%、アナリスト予想は12.5%だった。

マネーサプライM2の前年比伸び率は8.1%。3月の9.4%、アナリスト予想の9.3%を下回り、2019年7月以来の低水準となった。

新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む社会融資総量は、4月末時点の残高が前年比11.7%増で、3月(12.3%増)から伸びが鈍化した。

4月の社会融資総量は1兆8500億元で、3月の3兆3400億元から減少、予想の2兆2500億元も下回った。

興業証券の債券アナリストは「4月の社会融資総量の落ち込みはかなり大きかったほか、銀行融資なども比較的大きな減少を示した」とした上で、「これは借り入れ需要の低迷が主な原因であり、流動性供給の引き締めが原因ではない」と述べた。

またキャピタル・エコノミクスはリポートで、「今年半ばごろには社会融資総量残高の伸びが11.5%に鈍化すると予測していた。今回の数字は、鈍化が加速していることを示唆している。減速は下半期も続き、12月には10.5%程度になるだろう。もしそうなれば、今後数四半期にわたって経済に継続的な逆風となる」とした。