新型コロナはどこから来たのか?①コウモリを起源とするウイルスが武漢の海鮮市場を経由して人間に感染したとする自然発生説、②武漢にあるウイルス研究所から漏洩したとする人工発生説、端的にいうとこの2説がある。中国は当然ながら①説。これに対してトランプ前大統領は強引に②説を主張してきた。今年になってWHOが調査団を派遣、2週間に渡って海鮮市場や武漢の研究所などを調査した。はっきりした結論は出さなかったものの①説が有力との見解を表明、②説については「可能性としては極めて低い」との報告書をまとめている。中国と密接な関係にあるとされるテドロス事務局長は「引き続き調査を継続する」と表明したものの、世界の大勢は①説に傾き、この問題自体が沈静化したかに見えた。その起源説をめぐってここにきて米国の世論が急激に②説に傾き始めた。どうして。

米国の主要メディアは大半が反トランプを貫いている。報道機関ではないがツイッターはいまだにトランプ氏のアカウントをロックしたままだ。民主党のバイデン政権に代わってもこの傾向は維持されている。反トランプ、親バイデンだ。コロナ起源説をめぐっても主要メディアのほとんどが自然発生説に傾いていた。そのメディアがここにきて人工発生説の可能性を示唆し始めた。一般視聴者や読者にすれば、「どうして」当たり前の疑問がわく。背景は何か、調べたがよくわからない。日本の主要メディアはどこもこのニュースを取り上げていない。反対に特定のYouTuberは盛んにこの問題をテーマにした番組を流している。無視する主要メディアと深掘りするYouTuber。報道格差は歴然としている。どちらが正しいかわからない。だが、米国の世論の動向はYouTubeの方がはるかにビビッドに伝えている。バイデン政権も90日以内に報告しろと情報機関に指示した。

どやら元凶はCNNのようだ。反トランプの筆頭ともいうべきCNNが人工発生説を示唆するようなスクープを報道したことがきっかけになっている。アンソニー・ファウチ博士、米国を代表する感染症学者でトランプ時代から大統領の首席医療顧問を務めている有力者だ。そのファウチ博士がコロナウイルスの機能強化に関する研究を行なっていた。だがあまりにもリスクが高い研究だったために、オバマ政権がこれを禁止した。困ったファウチ氏は自ら所長を務める国立アレルギー・感染症研究所の関連団体経由で武漢の研究所に研究を委託したというのだ。この研究で漏洩したウイルスがパンデミックを起こした、事実ならCNNの大スクープだ。ファウチ氏の関与説は以前から囁かれていた。だがCNNはこれを陰謀論として退けていた。そのCNNが急に変わった。英情報機関も武漢説に傾いていると報道された。これをみて再び疑問が頭をもたげる。「どうして?」