【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票から5年が過ぎても、離脱をめぐる世論は割れている。賛否が拮抗(きっこう)し国論を二分した歴史的出来事は、なお社会に「分断と対立」という禍根を残したままだ。

英、影落とすEU離脱 国民投票から5年

 サバンタ・コムレス社が「2度目の国民投票が行われた場合」の投票行動を尋ねた23日公表の調査結果によると、残留を選ぶとした人は51%、離脱は49%で、ほぼ拮抗した。国立社会研究センターの調査では、再投票なら「5年前と同様に投票する」との回答は82%。2016年6月の国民投票の結果は、残留が48%、離脱が52%だった。

 離脱プロセスへの評価も真っ二つだ。21日公表のユーガブ社の調査で、昨年末の「完全離脱」後のプロセスをどう思うかという問いに対し、25%が「非常に、まあまあ」うまくいっていると回答。否定的な意見は38%だった。同社の5月の調査でも、離脱の決断は「正しかった」が45%、「間違っていた」が44%と伯仲している。

 世論分析の第一人者、ストラスクライド大学のジョン・カーティス教授は「大多数が(離脱への)態度を変えておらず、国は依然真ん中で分断されている」と指摘。離脱後のプロセスへの不満も根強いとし、「ブレグジット(EU離脱)をめぐる議論は今後も続く」と予想した。