連日の日本選手団の活躍で、東京五輪は予想外の盛り上がりをみせている。その一方でコロナ感染者の数が連日過去最高を更新しているが、そんな懸念をかき消すかのような金メダルラッシュだ。きのうの橋本大輝選手の鉄棒はハラハラドキドキの連続。柔道の新井千鶴選手の準決勝はゴールデンスコアに突入。決着までなんと16分41秒かかっている。本線の4分を入れれば20分を超える激戦。見る方も選手の一挙手一投足に合わせて身体中に力が入る。メダルをとるための技は年々難度になり、格闘技の試合時間は長くなる。いいのか悪いのか、視聴者のことも考えて欲しいと言いたくなるのだが、そんな勝手な理屈が通るわけがない。アスリートは命懸けで闘っている。そこにドラマが生まれ、視聴者を惹きつける。半面、期待に応えられなかった敗者もいっぱいいる。
バドミントンの第1人者、桃田賢斗もそのひとりだろう。予選は軽く通過と勝手に思っていたこともあり、予選リーグの試合は見なかった。1次リーグ敗退はスマホの速報で知る。正直「えっ、負けたの?」と思った。今朝起きていくつか記事を読んでみた。時事ドットコムには「桃田、不覚の幕切れ 『ああ、終わった』―バドミントン」とある。敗因は「気持ちで押されてしまった。余裕がなくてプレーが縮こまってしまった」と分析。「相手が決めにくるのをしっかり返して、長い試合に持っていくのが自分のスタイル」。重圧が卓越した「ラリー力」にブレーキをかけたのだ。読売新聞によると桃田は、29日午前0時16分にツイッターを更新。「結果は本当に悔しい形になってしまいました」と切り出し、「応援してくれている皆さんのおかげで憧れの舞台に立つことができたことに感謝しかないです」と書き込んだ。
桃田本人にとっても予想外の敗北だろう。桃田はこれまで様々なトラブルに見舞われている。「2016年リオデジャネイロ五輪は、違法賭博関与が発覚して自ら出場の道を閉ざした。昨年は交通事故で右眼窩(がんか)底を骨折。福島県内の高校生だった10年前には東日本大震災も経験した」(時事ドットコム)。「感謝しかないです」、本人の言葉はこれまで支えてくれた多くの人に対するお詫びであり、こころからの感謝だろう。「東京五輪以降も 沢山の試合で活躍されるのを心から願っています!!!」(読売)、桃田のツイッターにはエールの投稿が相次いだという。負けたなお多くの人に桃田敗北の記憶は残るだろう。橋本大輝の活躍も桃田の敗北も、2020東京五輪の記憶として多くの人に刻まれた。オリンピックは勝っても負けてもオリンピックなのである。
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