中国リスク、不意突かれたヘッジファンド-アリババなどの投資裏目に

  • コーチュー、メルビン、バイキング4-6月にJDドットコム買い増し
  • 中国企業のADRは投資に今や適さないといえる-マーシャル氏

米ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で資産家のレイモンド・ダリオ氏は、中国市場の変動について「小刻みな動き」の域を出ないと主張する。しかし、他のファンド運営会社の一部にとって、中国当局による各業界への取り締まり強化の影響は、むしろ激震に近いと思えるかもしれない。

  フィリップ・ラフォント氏のコーチュー・マネジメントとゲイブ・プロトキン氏が設立したメルビン・キャピタル・マネジメント 、アンドレアス・ハルボーセン氏率いるバイキング・グローバル・インベスターズは、いずれも中国の電子商取引会社JDドットコム(京東)の新たなポジションを4-6月(第2四半期)に増やしたが、同社の米国預託証券(ADR)は6月末以降19%下落した。

  一方、ロコス・キャピタル・マネジメントが4-6月に新たに設定したポジションは、アリババグループが約1億200万ドル(約112億円)相当で最も大きく、グレンビュー・キャピタル・マネジメントも4-6月に買い増したが、その後のアリババ株の下落率は20%を上回る。

  結局のところ、最近公表された株式保有報告書「フォーム13F」は、最も規模が大きく、かつ最も優秀なマネーマネージャーの一部でさえ、大手テクノロジー企業や営利目的の教育産業への中国当局による広範な締め付けを予期していなかったことを浮き彫りにした。16日には米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長がビデオメッセージで、中国企業への投資リスクに対しこれまでで最も単刀直入な形で警告を発した。

SEC委員長、中国企業への投資リスク警告-IPO承認の停止を指示 

  さらに英ヘッジファンド運営会社マーシャル・ウェイスの共同創業者ポール・マーシャル氏が先週の顧客宛ての書簡で、「米国に上場される中国企業のADRは投資に今や適さないといえる」との認識を示していたことも17日に明らかになった。

中国企業ADRはもはや「投資不可能」-マーシャル・ウェイス

  ただ、少なくとも今のところは、「アーク・イノベーションETF」の中国企業株へのエクスポージャーをゼロにしたアーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド氏に全てのヘッジファンドが進んで同調しているわけでない。

  モルガン・クリーク・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター、コーリー・レスター氏は「中国が投資に適さないと信じることは誤りだ。今はまさに先に発砲し、正しかったかどうか後で検証するような状況だ」と反論。中国投資の鍵は、対象をあまり集中させず、政策変更の可能性に機敏に対応することだとインタビューで語った。

キャシー・ウッド氏、中国エクスポージャーをゼロにした理由を語る

原題:Hedge Funds Blindsided by China Risk With Gensler Urging Caution(抜粋)