• 17年度からの4年では7指数中6指数で最大0.87ポイントの超過収益
  • 短期と将来リスクのバランスは非常に難しい問題-植田CIO

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度のESG(環境・社会・ガバナンス)の運用収益率は、選定した7つの指数のうち6指数で、ベースとなる親指数や市場平均を下回った。

  GPIFが20日公表したESG活動報告書によると、20年度のESG指数の収益率は、親指数を最大5.94ポイント下回った。一方、17年度からの4年間でみると、7指数中6指数で最大0.87ポイントの超過収益を得られていた。


 
4年収益率超過収益率1年収益率超過収益率
МSCI ESG セレクトリーダーズ10.38%0.87%38.90%▲4.53%
MSCI WIN9.89%0.38%37.49%▲5.94%
FTSE Blossom9.65%0.08%43.93%0.12%
S&P/JPX Carbon9.23%0.16%41.95%▲0.18%
S&P Global Carbon13.23%▲0.18%58.22%▲1.73%
MSCI ESGユニバーサル13.89%0.65%59.34%▲0.76%
Morningstar GenDi13.91%0.14%58.38%▲1.87%

  GPIFの植田栄治理事兼最高投資責任者(CIO)は、コロナ禍の株価急落局面で強さを発揮したESG指数は、20年度のリバウンド局面で「やや出遅れ」と評価。要因を「ESG評価の高い企業は総じて急落リスクが小さい一方、バリュー株(割安株)などが買われる局面では相対的に上昇幅が小さい」と分析した。

  世界最大の年金基金のGPIFとして「短期的なリスクと将来のESGリスクをどうバランスしていくのかは非常に難しい問題」との見方も示した。

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