中国の習近平国家主席による「共同富裕」への言及が今年に入ってから急増している。大きく広がった貧富の差の縮小を目指す中国共産党のコミットメントを示唆する動きだ。

  共同富裕との文言は、習指導部発足後の最初の8年間に散発的にみられたが、昨年からより頻繁に言及するようになり、ペースに弾みがついている。習主席は昨年の演説と会合で共同富裕に30回触れたが、今年はこれまでに既に65回言及している。

  米ジョージア州立大学で中国の政治コミュニケーションを研究するマリア・レプニコワ氏は、スローガン作りは習主席の意図の強さを示唆していると分析。「スローガンは新たな政策の方向性や変化を捉えるものであることが多く、政策がどのように変化しつつあるか示唆し得る」と述べ、「それらは幅広いことが多く、解釈のあいまいさと調整の余地をいくらか残している」と指摘した。

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  共産党中央財経委員会が17日に開いた会議では、「高所得の規制・調整を強化するとともに、法に沿った所得を守り、過度な所得を合理的に調整し、高所得層と企業に社会への還元を増やすよう促す」方針が示された。

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  同委はさらに、習主席がターゲットとしている層が超富裕層にとどまらず、一般的に裕福な人々も初めて対象に含まれることを示唆した。ブルームバーグによる習主席の演説分析では、これまでは同主席が「超高収入」に照準を定めていることを示していた。いずれの層についても公式な定義はないが、全般的に平等主義を推進する動きは、より多くの高所得者が対象になることを示唆しているもようだ。

  中国では最も裕福な上位20%の人が、最も貧しい下位20%の10倍余りの所得を得ており、この格差は2015年以降変化がない。年間世帯所得が10万-50万元(約169万-845万円)と定義される中間層は4億人と全人口の約3分の1に相当する。6億人余りは依然として月収1000元(約1万7000円)で生活している。

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原題:Xi Doubles Mentions of ‘Common Prosperity,’ Warning China’s Rich(抜粋)