全国の店舗窓口で振り込みや入出金ができなくなった20日のみずほ銀行のシステム障害では、バックアップ機能への切り替えで失敗が重なり、復旧に時間を要したことが分かった。課題だった顧客対応でも、周知が営業開始直前になるなど、改めて甘さを露呈した格好。再発防止には抜本的な意識改革が不可欠だ。
障害は19日午後9時ごろ、基幹システムと営業店の端末をつなぐシステムで発生。東京都内にあるシステムのメインサーバーには二つのディスク装置があり、一つが故障すると予備装置に切り替わるはずだったが、起動しなかった。
さらに同拠点内にあるもう一つのサーバーへの切り替えも失敗。不測の事態に備える千葉県内のサーバーで復旧作業を始めたが、全ての取引が正常化したのは翌20日の営業開始から3時間が経過した正午ごろだった。
バックアップ機能が働かなかった原因は現時点で明らかになっていない。みずほ銀は2月末からの2週間に続発したシステム障害を受け、ハードウエア機器についても必要な交換や改修を終えていたが、「バックアップの機械が動かなかったというのは初歩中の初歩の問題」(日本情報経済社会推進協会の坂下哲也常務理事)。さらに他のメガバンク幹部は、「バックアップが何重にも機能しなかったというのはソフトウエアの問題もあったのでは」との見方を示す。
顧客対応では、これまでの障害の教訓を踏まえ、営業店幹部への出勤指示やコールセンターの人員増強を事前に手配。システムが復旧しなかった場合の窓口での顧客対応なども検討されていた。
しかし、肝心の顧客への周知は営業開始30分前の午前8時30分。藤原弘治みずほ銀頭取は記者会見で「(開業に)間に合わないと分かった時点で(ホームページに)アップした」と説明したが、想定の甘さは否めない。坂下氏は「システムトラブルは経過よりも結果を見なければいけない」と指摘する。
みずほ銀が6月に公表した第三者委員会の調査報告書は、2~3月の障害について「顧客に悪影響が生じる場合はその抑止を最優先して対応すべきだった」と明記した。結果的にこの指摘が十分に生かされておらず、出直しに向けた課題は山積している。