菅義偉首相は次の衆院選を前に、自民党役員人事を行う検討に入った。二階俊博幹事長は交代させる方向だ。また、衆院選については、解散権を行使せず閣議決定で衆院選の日程を決める任期満了選挙案が浮上。10月5日公示、同17日投開票を軸にした調整が行われている。

 首相に近い複数の政権幹部が明らかにした。人事をめぐっては、二階氏も交代を容認しているという。首相は衆院選前に党運営の顔ぶれを代えることで、刷新感を打ち出したい考えだ。

 安倍前政権時代から歴代最長の約5年にわたって幹事長ポストに就く二階氏には党内で反発が根強い。自民党総裁選に立候補表明した岸田文雄前政調会長も、二階氏の続投に否定的な見解を示しており、首相の人事には総裁選の争点をつぶす狙いもあるとみられる。

 一方、衆院議員の任期満了は10月21日に迫る。公職選挙法は衆院選について、「議員の任期が終わる日の前30日以内に行う」と定めており、10月17日投開票案は任期前最後の日曜日を想定したものだ。ただ、この案は総裁選で首相が交代した場合、新首相の解散権を事実上縛ることになり、党内で反発が出る可能性もある。

 また、政府・与党は立憲民主党など野党が求めていた9月17日告示の自民党総裁選前の臨時国会の召集を拒否する方向で調整に入った。臨時国会の召集をめぐっては、加藤勝信官房長官と森山裕国会対策委員長が30日、新型コロナ対策の予備費を積み増す補正予算を求めた野党の提案について協議し、予備費がすぐに不足する状況にはないことを確認した。31日に森山氏が野党側に伝える。

 自民党総裁選は9月17日告示、同29日投開票の日程が確定。首相周辺では同12日までの緊急事態宣言を解除した上で、総裁選告示の17日までに衆院を解散する可能性を探っていたが、国会召集の拒否により、この間の解散は事実上困難となった。(上地一姫、楢崎貴司、明楽麻子)