今朝の朝日新聞(Web版)に自民党総裁候補の支持率が載っている。トップは河野氏で33%、以下石破氏16%、岸田氏14%、高市氏8%、野田氏3%の順。順位は各紙の調査と大差ないが、河野氏の支持率や人気が上昇軌道に乗っている感じがする。世論調査と関係ないが同じ朝日に河野氏を取り巻く麻生派や自民党内の雰囲気に関する記事が掲載されている。タイトルは「出馬表明の河野氏、異端児から『変身』 それでも冷ややかな派閥幹部」。同紙によると河野氏は党内で「異端児」と受け止められているようだ。「党のしがらみに縛られぬものいいは、時にハレーションを生んできた」(朝日新聞)とある。河野家のブランドを背に時に自由奔放に、時に先輩後輩の上下関係を無視して、「歯にきぬ着せぬ言動」で売ってきた河野氏。こうした行動が派閥幹部の「冷ややか」な反応の原因だろう。

派閥幹部を取材源とする一部政治ジャーナリストもこれに同調する。朝日の記者もその1人だろう。「党のしがらみに縛られぬものいい」が許せないのだろう。昨日テレビで河野氏の抱負を聞いた。その時、「なるほど、これが嫌われる理由か」と感じた部分を今朝の産経新聞Web版がフォローしている。12日夜のフジテレビ番組で、自身が担うワクチン行政に関し「自分で言うのもなんですけど、言っちゃいますけど、やはり河野太郎でなかったらここまで来なかっただろうと正直、思っています」と自画自賛した。菅首相の指示である1日に100万回を上回る接種回数を達成した突破力、実行力を自己評価したものだ。「慎ましく、控えめに。評価は有権者に任せる」、日本的風土とは相いれない発言である。この発言を聞きながら個人的にはトランプ大統領の「俺がやった」発言を思い出した。

もう1人あげるとすれば小泉純一郎か。「自民党をぶっ潰す」、小泉政権はこの一言で5年の長期政権を築いた。小泉氏も日本人離れした人だった。だが2人とも国民的な支持率が高いという特徴をもっている。ポピュリズムは嫌いだが、主義・主張の明確でない政治家も好きになれない。保守の安倍氏が曲がりなりに支持された理由も、明確な主張に裏付けられている。石破氏、高市氏もこの部類だ。岸田氏は真っ当な政治家だが破壊力が乏しい。誰が勝つにしろ自民党の総裁選は予想外に面白い展開になってきた。対する野党、とりわけ野党第1党の立憲民主党は自民党に対抗できるのか。枝野代表は昨日、アベノミクス検証委員会を立ち上げると宣言した。いまさら何を検証するのか。世界はもっと先に進んでいる。激励の意味をこめていえば枝野–福山ラインで総選挙は戦えないだろう。立憲の若手に不安はないのか。今からでも遅くない。トップ人事に手をつけるべきだ。