きのうからきょうにかけて目についたニュースを挙げれば、第1が中国TPP加盟を正式申請、第2が北朝鮮の巡航ミサイル発射、第3が野田氏総裁選出馬といったところか。米中豪のAUKUS(オーカス)発足も興味深いし、イーロン・マスク氏の民間人だけによるロケット打ち上げも目を引いた。そんな中で最も注目したのがタイトルにした「株価が17万5000%上昇する次の企業を探す」というGSアセットマネジメントの運用責任者のひと言だ。毎日ニュースを読みながら異常値に過剰に反応する自分自身に驚いている。「17万5000%上昇」がどのくらいの規模を指しているのが直感的にはピンとこない。だが、数値が大きいだけで脳細胞が過敏に反応する。単なる例え話に過ぎないとしても、ここまで大ボラを吹ける人物はいったいどんな人か。興味が湧いた。

このひと言はブルームバーグが配信した「ゴールドマン、次の『FANG』発掘へ-株価上昇率17万5000%期待」という記事の中にある。FANGはフェイスブックとアップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの頭文字。言わずと知れた超成長企業だ。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSMA)は、将来のFANGを組み込んだ上場投資信託(ETF)を組成した。アクティブ運用型ETFで、名称は「ゴールドマン・サックス・フューチャー・テック・リーダーズ・エクイティー(GTEK)」、先進国および新興国のハイテク企業を組み入れる。そこで登場したのがこのひと言、「株価が17万5000%上昇する次の企業を探す」というわけだ。日本語で言えば「一攫千金を夢見る」っていう程度の話。言うは易く、実現性は極めて低い。それでも大ボラを吹けるだけ可能性はあるということか。

その昔、孫正義氏が米国留学から帰国し福岡でベンチャー企業を立ち上げた。創業第1日目、1人のアルバイトを前に演説したという逸話が残っている。孫氏はミカン箱に乗って「将来は1兆、2兆と兆単位の売り上げを実現する」と大見得を切ったそうだ。それを聞いたアルバイトは「豆腐じゃあるまいし」、呆れて次の日に会社を辞めたという。そのソフトバンクグループ、昨年度の売上高は5兆6000億円を超えている。ホラも吹いてみるべきか。それはともかくGSMAの運用責任者であるケイティ・コッチ氏は、「テクノロジー面での次なるムーンショット(困難だが実現すれば大きな影響をもたらし得る挑戦)をGTEKで見極めようとしている」とのこと。「新規株式公開(IPO)から株価が17万5000%上昇する次の企業を探すことに尽力している」と語ったそうだ。