[ワシントン 28日 ロイター] – 米上院共和党は28日、現行28兆4000億ドルの連邦政府債務上限を22年末まで適用停止とする法案の採決を阻止した。30日の会計年度末が目前に迫る中、債務不履行や政府機関閉鎖の回避に向けて残された時間は限られている。

上院民主党トップのシューマー院内総務は、共和党が採決の実施に同意するという条件で、債務上限引き上げ法案の採決を行うことを提案。「共和党が1票も投じることなく債務上限引き上げの実現を望むのであれば、採決を実施する用意がある」と言明した。しかし、上院共和党トップのマコネル院内総務は、共和党の支持を必要としない財政調整措置(リコンシリエーション)という手続きを通じて可決すべきとの考えを改めて示し、採決を阻止した。

上院は前日にも、債務上限適用を22年末まで凍結する措置と政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算に関する法案の審議入りを反対多数で否決した。野党・共和党が反対した。

民主党のクーンズ上院議員はロイターに対し、議会が29日に政府機関閉鎖回避に向けた法案を前進させる可能性があるという見通しを示した。

イエレン米財務長官は28日、上院銀行委員会の公聴会で証言し、債務上限が引き上げられず債務不履行に陥れば、米国に対する全幅の信認や信用は失墜し、「金融危機や景気後退に直面する公算が大きい」と警鐘を鳴らした。議会指導部に宛てた書簡でも、10月18日までに債務上限の引き上げ、もしくは上限適用の凍結が決定されなければ、18日時点で「財務省には非常に限られたリソースしか残っておらず、すぐに枯渇する」見通しと強調した。

イエレン長官と共に証言に臨んだパウエル連邦準備理事会(FRB)議長も、FRBは債務上限の引き上げなしに国民をデフォルト(債務不履行)から守ることはできないと述べた。