衆議院の解散・総選挙について、岸田総理大臣は今の臨時国会の会期末の今月14日に衆議院を解散し、19日公示、31日投開票の日程で選挙を行う意向を固めました。
4日夜、記者会見で、こうした方針を表明する見通しです。
自民党の岸田総裁は4日午後、衆参両院の本会議で行われた総理大臣の指名選挙で、第100代の総理大臣に選出されました。
岸田総理大臣は、今月21日に衆議院議員の任期が満了することを踏まえ、衆議院選挙の時期を検討してきましたが、臨時国会の会期末の今月14日に衆議院を解散し、19日公示、31日投開票の日程で選挙を行う意向を固めました。
岸田総理大臣は、こうした方針を、4日の夜9時からの記者会見で表明する見通しです。
岸田総理大臣は、来年度予算案の編成作業などの政治日程を踏まえて、総合的に判断したものとみられますが、与野党からは、新政権が発足してから間を置かずに選挙に臨んだ方が得策だと判断したのではないかという見方が出ています。
衆院選 任期満了後の投票は戦後初
衆議院選挙が10月19日公示、31日投票という日程で行われることになれば、今月21日に衆議院議員の任期が満了したあとの投票になります。
戦後の衆議院選挙は、帝国議会だったときも含め27回行われていますが、議員の任期満了後に投票が行われるのは初めてです。
一方、戦後、10月に衆議院選挙の投票が行われたのは、昭和27年、昭和54年、平成8年、それに前回 平成29年で、今回は、戦後5回目の“10月投票”となります。
自民 甘利幹事長「議席数の確保が私の仕事」
自民党の甘利幹事長は、岸田総理大臣が、今月14日に衆議院を解散し、19日公示、31日投票の日程で選挙を行う意向を固めたことについて、NHKの番組で「まだ正式には聞いていないが、そういう方向性を岸田総理大臣が示すと思っている。幹事長として、その日程に従い、できるだけ広範に岸田政権や自民党が掲げる政策を徹底して国民に理解していただき、議席数を確保していくことが仕事だと思っている」と述べました。
また甘利氏は、岸田総理大臣の選出について「新型コロナで社会の分断が加速し、国民が不安を抱えているので、社会を一つにまとめて進むべき方向を示すリーダーが必要だ。そういう点では、国民の痛みに寄り添える力のある総理大臣が誕生した」と述べました。
自民 高市政調会長「政権公約 あと3日くらいで書かないと」
自民党の高市政務調査会長は、午後1時45分ごろ、国会内で記者団に対し「総裁選挙を戦った仲間が総理大臣になり、とてもうれしく誇らしく、政務調査会長としてしっかりお支えしたい。急に衆議院選挙の投票日が早まったという報に接し、政権公約をあと3日くらいで書かないといけなくなった。夕べも徹夜したが、頑張ります」と述べました。
また、衆議院の総理大臣指名選挙で、自身に1票が投じられたことについて「どなたが書いたかわからないが私ではない。少しびっくりした」と述べました。
自民 石破元幹事長「憲法が想定していない事態を回避か」
自民党の石破元幹事長は、国会内で記者団に対し「衆議院議員の任期をまたぐ形で選挙が行われるのは戦後初めてであり、極めて異例なことだ。憲法が想定していない事態を回避するため、選挙の日程を早めたのではないか」と述べました。
そのうえで「新型コロナの収束の兆しは見えているが、医療体制をどのように見直すのかなど、国民が知りたいことや語ってほしいことを、自民党がきちんと政策として述べる必要がある」と指摘しました。
自民 石原元幹事長「全体的な日程みて考えたのでは」
自民党の石原元幹事長は4日午後0時半すぎ、派閥の会合のあと記者団に対し「政治の世界は何が起こるかわからないと常々思っていたが、補正予算もつくらなければならず、年末の税制改正もあるタイトな日程なので、全体的な日程を見て考えたのではないか。一致結束して、全員の当選を目指して頑張りたい」と述べました。
自民 有力議員「思い切った判断」
自民党の有力議員は、NHKの取材に対し「思い切った判断で、よいのではないか。あまり予想されなかったことでもあり、内閣支持率が上がると見込まれ、新型コロナウイルスの感染者数も少なくなっているうちに、選挙を断行してしまおうという考えだと理解している」と述べました。
自民 閣僚経験者「感染者数の落ち着きが要因か」
自民党の閣僚経験者は、NHKの取材に対し「『新内閣発足後、問題点が出る前に解散か』という見方をされるかもしれないが、いちばんの要因は新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いていることではないか。岸田総理大臣の政策をしっかりと打ち出すような選挙戦になればいい」と述べました。
また、別の自民党の閣僚経験者は「早い時期に衆議院選挙をしたほうが、新政権発足の『ご祝儀相場』もあり、自民党にとってはよい。菅政権で早期に解散できなかった反省もあるのではないか。また、年末の予算編成に向けても、早めに衆議院選挙をすることでしっかりとした議論ができることになる」と述べました。
さらに、別の自民党の閣僚経験者は「よい判断だ。衆議院選挙のあと、経済対策を含めた補正予算案を早く編成する必要があるし、なるべく内閣支持率が高いまま、選挙に臨みたいという判断だったのではないか」と述べました。
立民 枝野代表「堂々と受けて立つ」
立憲民主党の枝野代表は、NHKの番組で「政権の表紙が変わっても、本質は変わらないということだ。きょう就任する大臣が所信を述べる場も設けずに衆議院選挙を行うようでは、国民は何を基準に選択したらいいのかわからず、大変残念だ。ただ、われわれは決められた日程で戦う立場で、さまざまな準備も進めてきているので、堂々と受けて立ちたい」と述べました。
また、衆議院選挙に向けた野党連携について「200近い小選挙区で、すでに与野党一騎打ちの構造ができている。さらに一本化すれば勝てるのではないかという選挙区があり、各党の立場もあるが、ぎりぎりまで努力したい」と述べました。
立民 福山幹事長「乱暴なやり方だが受けて立つ」
立憲民主党の福山幹事長は、NHKの取材に対し「予算委員会で新型コロナ対策などの審議もしないままに国民の信を問うことは、丁寧に説明をしようという姿勢からはほど遠く、極めて乱暴なやり方だ。しかしながら、選挙が行われるからには、われわれとしては堂々と受けて立ちたい」と述べました。
立民 辻元副代表「ボロ出ないうちにと下心がみえみえ」
立憲民主党の辻元副代表は、4日午前11時半すぎにNHKの取材に対し「新政権のボロが出ないうちに、国会審議を十分せずに一挙に選挙に打って出てしまおうという下心がみえみえだ。これこそ岸田新総裁が言っていた『民主主義の危機』ではないか」と述べました。
立民 安住国対委員長「岸田総裁らしくない奇襲作戦」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、4日正午前に記者団に対し「衆議院の解散は、いつであっても受けて立つ。ただ、国会はきょうがスタートで、丁寧に議論してから解散すべきだと言ってきている。岸田総裁らしくない奇襲作戦に出てきたのだと思う。解散となれば、与野党がっぷり四つの論戦で政権交代を実現したい」と述べました。
公明 山口代表「連立政権の構えをしっかり訴える」
公明党の山口代表は、与党党首会談などに出席したあと、4日午後4時半ごろ総理大臣官邸で記者団に対し「岸田総理大臣から明確な発信があると思う。衆議院選挙は、政権を選択する選挙なので、連立政権の構えをしっかり訴えていくことが大事だ。どのような日程になっても、しっかりそれを受けて対応していきたい」と述べました。
公明 幹部「妥当で理解できる」
公明党幹部は、NHKの取材に対し「岸田政権として、衆議院選挙の投開票を早めることによって、そのあとの新型コロナ対策や経済対策を優先させるための判断だろう。妥当で理解できる」と述べました。
共産 志位委員長「議論封殺で選挙 乱暴なやり方」
共産党の志位委員長は記者団に対し、「ようやく国会を開いたと思ったら、予算委員会を行わずに、議論を封殺したまま衆議院選挙をやるというのは、あまりに乱暴なやり方だ。ただ、選挙そのものは当然受けて立ち、国民の審判をしっかり下してもらって、政権交代で新しい政権をつくるために頑張り抜きたい」と述べました。
また、岸田総理大臣の選出について「9年間の『安倍政治・菅政治』を引き継いでおり、自民党という行き詰まった政党の中で、政権のたらいまわしをしても日本の政治はよくならない。政権交代がどうしても必要だ」と述べました。
共産 小池書記局長「国民を愚弄する態度」
共産党の小池書記局長は、4日正午前にNHKの取材に対し「国会審議を十分やらないで、いざとなったら衆議院選挙にいちもくさんで突っ込む姿勢は、国民を愚弄する態度だ。このタイミングで選挙をやろうというのであれば、予算委員会を行い、岸田氏のことば通り『聞く耳を持つ』ということが、いよいよ必要であり、開催を強く求めたい」と述べました。
維新 馬場幹事長「いつ選挙があっても臨める」
日本維新の会の馬場幹事長は、記者団に対し「わが党は、通常国会が終わったと、いつ衆議院選挙があっても臨めるよう準備してきたので、当初の想定よりも1週間程度早くなったからといって混乱することはない」と述べました。
また、岸田総理大臣の選出について「改革を確実に行っていくことを念頭にしっかり取り組んでもらいたい。われわれとしては、今まで通り、是々非々で、国民のためになることは協力するが、そうでない場合は修正を求めたり、反対していく」と述べました。
維新 遠藤国対委員長「選挙は望むところ」
日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、4日午前11時半すぎにNHKの取材に対し「衆議院選挙は、今月、議員の任期が満了になる以上、できるだけ早くやるよう求めてきたので望むところだ。今回の判断の背景には、新型コロナウイルスによる感染の第6波の前に選挙を実施したいという思惑があるのではないか」と述べました。
国民 玉木代表「しっかり立ち向かい政策訴える」
国民民主党の玉木代表は、4日正午前にNHKの取材に対し「本来であれば、ずっと要求してきた予算委員会をきちんと開き、政権の方針や野党の提案を十分に議論すべきだが、感染が広がらないうちに勝負に出たのだろう。ただ、政権が解散を決めたとなればしっかり立ち向かい、選挙の中で『積極財政への転換』など党の政策を訴えていきたい」と述べました。
また玉木代表は、記者団に対し「衆議院選挙は早まろうと受けて立つが、とにかく新型コロナ対策に万全を期してもらいたい。規模に応じた事業者支援などの法律に加え、最低でも20兆円の補正予算が必要で、夜なべをしてでもいいので選挙前に成立させるよう求めていきたい」と述べました。
また、岸田総理大臣の選出について「国民の信頼回復を掲げて総理大臣になったので、まずは信頼回復に全力を尽くしてほしい。また、経済政策の転換を図れるのかどうかは大きなテーマで、国会の代表質問でもただし、選挙戦でも明らかにしていきたい」と述べました。