コロナ対策の規制が全面的に解除されたなかで、先週土曜日、久しぶりに東京に出かけた。知り合いと旧交を温めるための飲み会である。17時集合に向けて15時過ぎに家を出た。久しぶりに電車に乗る。隣駅で一旦降りて買い物をするなど、街中の視察を兼ねて早めに家を出る。午後の3時過すぎの上り電車。車内はゆったりと座れるほどの混み具合だった。感心したのは私を含め同じ車両に乗り合わせた乗客全員がマスクを着用していたことだ。欧米ではマスク着用の義務づけに反対してデモまで起きていると報道されている。いまさらながら日本人の生活習慣の素晴らしさを実感した次第。マスクだけではない。お大声を張り上げる人も当然ながらいない。みんな静かにスマホに目を落としている。三密回避が徹底している。政府や自治体が強要しなくても、「やることはちゃんとやる日本人」。コロナ対策優等生を改めて実感した。
集合場所に17時ちょっと前に到着。駅を降りてすぐ近くのところだが、駅構内はじめ駅周辺はさすがに込んでいた。久しぶりの東京で人流がどのくらい増えているのか、比較しようがない。とはいえ、個人的な実感としては「込んでいる」との印象だ。緊急事態宣言が全面的に解除されたのだから、当然といえば当然だろう。でもほとんどの人がマスクを着用している。逆に言えば恐ろしいほどの同調圧力でもある。ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏の日本に帰らなかった理由、「同調圧力に耐えられなかった」を思い出した。飲み屋に向かう途中に何度も客引きのお兄ちゃんの勧誘を受けた。コロナ以前にはあまりみられなかった光景だ。パンデミックが始まって飲食店は時間制限やお酒の提供禁止など、死活を左右する強烈な規制を受けてきた。メインストリートにあるほとんどの飲食店は店を開けていたが、肉豆腐で有名な一軒のシャッターが降りていた。
飲食店はこの間、よく耐え忍んだと思う。そうした苦しみの反映か、客引きのお兄ちゃんたちの呼び込みはいつになく真剣な表情だった。トンネルを抜け出た開放感と、復活に向けた意気込みがみなぎっているようでもあった。そんな客引きを何人もやり過ごして酒席につく。お店はすごく込んでいた。配膳ロボットが店の中を行ったり来たりしているが、我々の注文はなかなか出てこない。アルバイトと思しき店員も慣れないせいか客の対応にテンテコ舞い。再開間もないせいか、みんな客慣れしていない感じだ。これもパンデミックの後遺症か、致し方ない。酒のつまみは、引きこもり時代に直面した老夫婦二人の生活にまつわる悲喜こもごも。みな認知症の進行を気にしながら、時間が経つのを忘れていた。それにしても、どうしてコロナ陽性者はかくも急激に減少したのか。世界中で一緒の現象が起こっている。規制解除を喜びながら、解けない疑問が頭の中を駆け巡っている。
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