• テーパリング開始の条件「ほぼ満たされた」-IIF講演で表明
  • 物価に関するリスクは上方向にあり、インフレ期待の指標注視へ

米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は同国経済について、失業率とインフレ率が共に上昇した1970年代のようなスタグフレーションには向かっていないとの考えを示した。

  国際金融協会(IIF)のオンライン年次会合で12日に講演したクラリダ氏は、「私は大学生として1970年代の『グレートスタグフレーション』を実際に経験しており、多くの違いがあると考える」と質疑応答で述べた。

  具体的には、「まず第一に70年代は金融政策において極めて多くの政策ミスがあった10年だ。中央銀行当局者はそこから教訓を得ており、そうした政策ミスが繰り返されることはないと見込まれる」と話した。

クラリダFRB副議長、中期的にスタグフレーションは見込まれないと指摘Source: Bloomberg)

  クラリダ氏は「中期的に見てスタグフレーションはないというのが私の基本シナリオだ」と指摘。米国の場合、ボトルネックによって7-9月(第3四半期)の総需要の伸びが極めて緩やかだった一方で物価は上昇し、そうしたスタグフレーション的な「雰囲気が現時点ではある」としつつも、「それが先行きトレンドになるとは思わない」と強調した。

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楽観的見通し

  一方、これに先立つ講演でクラリダ氏は、高インフレと再雇用継続という状況の中、債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)開始に必要な条件は「ほぼ満たされた」と指摘。「金融当局の物価安定の責務に関しては『一段と顕著な進展』の基準を満たして余りある状況にあり、雇用に関する責務においてもその基準はほぼ満たされたと、私自身は考えている」と述べた。

  インフレについては、「米経済における基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移していると、私は引き続き考えている。今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性のものだと分かるだろう」と語った。

  その上で、「ただし私も当局の大半の同僚と同様に、インフレに関するリスクは上方向だと考えている。引き続き基調的なインフレトレンド、特にインフレ期待の指標に注意を払っていく」と話した。

原題:Fed’s Clarida Says U.S. Economy Isn’t Headed for ‘Stagflation’(抜粋)