この政治家が日本の政治に影響力を持っている現状をどう考えればいいのだろうか?ひと言で言えば怒りを通り越して“絶望”か。安倍長期政権を支え、世界中に広まった幅広い人脈から「日本政界にあって余人をもって代え難い人材」、何かの記事でこうした趣旨のコメントを読んだ記憶がある。まことにもって日本を支配する主流派層の人材の底の浅さかな、嘆きたくなる。麻生派に所属し総裁選に立候補した河野太郎氏のTwitterの常套句を借りれば、麻生氏よ、副総裁も国会議員も一刻もはやく「ヤメレ」といいたくなる。北海道のコメは温暖化でうまくなったのだそうだ。これはきっとジョークだろう。だとしてもこの程度のジョークしかいえない副総裁に日本を託せるか?岸田首相は「適切ではなかったのかなと思う。申し訳ないと思います」と陳謝した。えっ、その程度。ダメだ、こりゃ!

きのう小樽市で行われた街頭演説で麻生氏は次のように語っている。「暑くなった、温暖化した、悪い話しか書いてないけど、温暖化したおかげで北海道のコメはうまくなったろ?北海道米は昔は厄介道米って言われてたじゃないの。それなのに今はコシヒカリだ、コチピカリだ、ねえ、なんか怪しげな名前だけど、おぼろづきとか名前をくっつけて金賞をとって、その米を輸出してんだよ。そういったものは温度が2度、お米の花が実に変わるあのころの温度が2度上がった。それだけで売れるようになった。おいしいお米になって。それを輸出してる。これが今の現実じゃありませんか。 北海道の雪がいいから、フランスからオーストラリアからスキーやりに人が来てる。倶知安だ、ニセコだ、みんな行ってるわけだ。そういったことを思い出していただくと、北海道にはこれで新幹線だ、この小樽経由で札幌まで行くんでしょ。今の札樽道路も通ってくる。一つ一つ明るい将来というものが出てくる」(朝日新聞デジタル版)、地球規模でいま何が問題になっているのか、この人には基礎的な知識すらない。

岸田政権はこの人を副総理兼財務大臣から外したものの、自民党の副総裁として迎いいれている。そしてUR都市機構に絡んであっせん収賄罪疑惑が取り沙汰されていた甘利氏を自民党幹事長に起用した。もう一人の実力者、安倍元首相に対してはモリ・カケ・サクラなど一連の疑惑の再調査は行わないと配慮している。それは“忖度”以外のなにものでもない。政権運営の独立性は、大事なことは首相が決めることで成り立っている。総裁選に勝利したあとの岸田氏には、いわゆる3Aの影が付きまとっている。こども庁や健康危機管理庁設立の公約を先送りしたほか、「1億の壁」といわれる資産課税の導入をうやむやにした。麻生氏を前にへりくだる岸田氏の姿が目に浮かぶようだ。麻生氏に代わって謝罪するのも変だ。普通は麻生氏を呼んで注意するとか、叱責する。これではまるで3A傀儡政権だ。政権交代は望んでいないが、有権者はおそらく傀儡政権への投票を躊躇するだろう。今週末の総選挙で異変が起こるとすれば、その原因はひとえに麻生氏にある。麻生氏よ、はやく「ヤメレ」!