いまさら総選挙を振り返っても仕方ないだろうが国民民主党がきのう、衆院で構成してきた立憲民主、共産、社民の各党と協議する国会対応の枠組みから離脱すると発表した。かねて国民民主党はもっと自主路線を強めたほうがいいのではと思っていたので、この決定は一つの前進だろう。先の衆院選挙で同党は事前の減少予想を裏切って議席増を成し遂げた。投票した有権者もこの決定を支持するのではないか。ついでに言えば立憲民主党の敗因は共産党シフトだろう。一部にはかなりの選挙区で自民党との接戦に持ち込んだことを受けて、「一定の効果はあった」と評価する向きもある。個人的には同調できない。立民も共産も議席を減らしている。選挙の評価は議席の数だ。善戦したとはいえ統一候補を擁立して議席を減らした枠組みを評価することの意味がわからない。意味があるとすればこの枠組みを来年の参院選挙でも続けることで合意が成立したときだ。「あと少し。共に頑張ろう」、そういう意味はある。それを察したのだろう、国民はいち早く関係も断ち切った。

枝野代表は敗北の責任をとって辞任表明した。政権獲得選挙で「日米安保破棄」と「天皇制廃棄」を主張する共産党と組んだことが最大の見込み違いだろう。けさ毎日新聞は先の総選挙で立民と国民の間で400万票の票の按分があったのではないかとの推測記事を掲載している。静岡市葵区で7955票もの案分票が発生した事実を元に、全国の按分票を推計したものだ。両党の按分対象となったのは比例区で「民主党」と投票した票である。政権をとったかつての民主党への郷愁か。あるいは立民も国民もかつての民主党に再結集せよとの激励票か。党として袂をわかった両党に対し、意識はいまだに共に民主党とみている有権者がかなりいる。分裂の総括もできないまま、相手を罵倒して党内対立を煽った古い古い旧民主党の残滓が、いまだに両党に纏わりついているような気がする。

けさの産経新聞。「阿比留瑠比の極言御免」と題して「変わった自民 変われぬ立民」という記事を載せている。会員限定の記事で中身は読めないが、言わんとすることはよくわかる。選挙期間中に枝野氏は「変わらない自民党、変われない自民党」と揶揄していた。阿比留氏によると選挙期間中同氏は「変えよう、一緒に変えよう、変えよう」と絶叫調で演説をしていたという。阿比留氏が指摘するように、問題は「変われぬ立憲民主党」なのだ。毎日新聞は「野党合同ヒアリングは、『公開リンチ』『集団つるし上げ』といった批判があった」と指摘する。立民にとっても枝野辞任はいいチャンスだ。ピンチをチャンスに変えられるか。辻元氏が落選し、蓮舫氏擁立の声が出ない立民。今回が「変われる最後のチャンス」かもしれない。