ロイターによるとデンマーク政府は8日、屋内飲食の際にワクチン接種証明の提示義務を再導入すると発表した。同国は9月、新型コロナウイルス感染対策の規制をほぼすべて撤廃したが、ここにきて感染者がすう勢的に増加。9月中旬には200人強だった1日あたりの新規感染者がここ数日、2300人前後を記録している。一方ドイツでは、コロナ感染率がパンデミック(世界的な大流行)開始以来最悪を記録する事態となっている、とのこと。ヨーロッパでは再び感染が拡大がはじまった。急激に感染者が減少している日本でも、専門家やメディアの多くが第6次感染拡大に備えるよう促している。岸田政権も医療逼迫の回避に向けた対策作りに注力している。再拡大がはじまったヨーロッパ。日本はどうか、本当に第6次感染はあるのか。気になるところだ。

きのうの日経新聞に「コロナ感染、なぜ急減 専門家に聞く」と題した記事が掲載されていた。第6次感染拡大に備えてまずは感染が急減した理由を明らかにしようというわけだ。感染急減の理由は実は明らかではない。それが分かれば感染防止に役立つ。いい発想だ。この記事で複数の専門家が感染急減の要因を推測している。ワクチン説、マスクなど習慣説、集団免疫形成説など一般的な説に混じって「自滅説」というのがある。諸説が決定打に欠けている中で、個人的にはこの説に説得力があるような気がした。この説を唱えている東大名誉教授の黒木氏によると「ある遺伝子領域に変異が追加され、感染性が失われるといったことが起きている可能性がある」と推測する。要するに変異を繰り返したウイルスが、ある日突然、変異によって感染力を失ったというわけだ。まさに自滅だ。

ウイルスは頻繁に変異を繰り返す。変異によって感染力が強化されると一般的には解説されている。自滅説はその逆のケースだ。現在流行の中心になっているのはデルタ株。この株の登場によって以前に流行していたウイルス株はほぼ姿を消した。「自滅株」が事実なら日本で起こったウイルスの急減が説明できる。自滅株の登場によって感染力の強いデルタ株は存在できなくなる。「デルタ型ウイルスは新規感染者数の増え方も減り方も指数関数的」(黒木氏)である。急に増えて急に減少しはじめた。感染対策の如何に関係なく、すべてがウイルスによる自作自演というわけだ。あり得る気がする。これが事実だとすればこころ強い。自滅株の登場は日本だけか、自滅株を生み出す環境的な条件はなにか、第6次の感染予防に自滅株は利用できるか、さらなる研究が必要になる。ど素人としてはウイルス専門家の検証能力に期待したい。