【ワシントン、北京時事】日米中や台湾など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が12日、オンライン形式で開かれた。環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国全てがAPECのメンバーで、中国のTPP加入申請に注目が集まった。日本を含むTPP参加国から発言が相次いだほか、対立を深める米中の首脳が互いに相手をけん制し合うなど、政治的な駆け引きが展開された。

 TPPを主導する日本の岸田文雄首相は「TPPは不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相いれない」と述べ、高度な自由化水準と公正な経済秩序を維持すると表明した。APEC議長国ニュージーランドのオコナー貿易相も中国を念頭に「TPP加入に必要な水準を確認すべきだ」と語った。加入には全参加国の同意が必要。

 中国の習近平国家主席は「中国は対外開放を拡大し、中国の発展機会をアジアや太平洋地域と共有する」と述べ、TPP加入を目指し市場開放に努めると強調した。首脳会議に先立つ11日の関連会合では「地政学的に政治グループを作ることに未来はない」とも語り、米国主導の「中国包囲網」に矛先を向けた。

 これに対し、バイデン米大統領は首脳会議で、人権や法の支配を尊重する「自由で開かれたインド太平洋」の実現を掲げ、「公正な貿易・投資を進展させる」と訴えた。国有企業の優遇など、TPPの理念に反する中国の動きを批判した形だ。