アルケゴス・キャピタル・マネジメントのビル・フアン氏がデリバティブ(金融派生商品)を通じて米地銀テキサス・キャピタル・バンクシェアーズの株式をひそかに20%超保有していたことが、事情に詳しい関係者の情報で明らかになった。同行の株価は一時急騰したが、アルケゴスの破綻とともに下落した。

  情報を公に話す権限がないとして匿名を条件に述べた同関係者によれば、アルケゴスと同行は多額の投資について非公開で話し合いを持っていた。この投資は他の株主らには明らかにされなかったという。株価が急伸すると、同行はアルケゴスの動きについて何も知らない投資家などから多額の資金調達を行った。

ビル・フアン氏

  同行での一連の出来事は、フアン氏のようなリスクを積極的に取る「市場のクジラ」が特定銘柄への大規模投資を行った時に何が起きるかを示す稀有な例であり、規制の厳しい銀行の場合にはなおさらだ。監督当局は預金を扱う金融機関に部外者が影響を及ぼしかねない事態をこれまで長く阻止してきた。しかし、懸念はそれだけではない。大株主が早急に手を引いた場合にその銀行の株価が急落し、取引先や顧客を混乱に陥れるリスクを恐れている。

  アルケゴスの問題を巡ってはすでに世界中で調査や検証が進められているが、テキサス・キャピタルへの関与の度合いは新たな側面を浮かび上がらせた。米証券取引委員会(SEC)などの監督当局は、抜け穴をふさいでグレーゾーンを排除するため規制自体を書き換える必要があるかどうかを精査している。アルケゴスのような投資家が大規模な投資を行った際には確実に報告を求めたいと当局は考えている。

  ダドリー前ニューヨーク連銀総裁は「法律や規制をかいくぐろうとする人がいれば、それは問題であり、対応しなければならない」と述べた。

ダラスにあるテキサス・キャピタル・バンクシェアーズの建物Photographer: Kristina Blokhin/Alamy

  テキサス・キャピタルの株価上昇でアルケゴスの役割を明らかにすべきだったかどうかは、同行がどの程度の情報を把握していたか、またそれが重要な内容だったかどうかによる。これまでのところ、どの当局もテキサス・キャピタルに不正があったとは指摘していない。

  同行の株価は昨年下期に93%高と、S&P中型株金融指数を構成する63銘柄の中で上昇率トップだった。今年に入ってからはアルケゴスの破綻後に値下がり率が最も高い銘柄の一つになった。

  アルケゴス、テキサス・キャピタルの広報担当者はコメントを控えた。

原題:Bill Hwang’s Huge, Brash Bet to Corner a U.S. Bank Stock(抜粋)