中国関連のニュースが慌ただしい。米中首脳会談が終了したのも束の間、バイデン大統領が北京五輪の外交的ボイコットを検討していることを公にした。理由は人権問題に対する抗議。英国が同調する動きを示すなど、国際的にも緊急のテーマに浮上しそうな雲行きだ。岸田首相は「日本は日本の立場で考えたい」(時事ドットコム)としており、米国に同調するかどうか不明。岸田政権自体は親中国との見方もあり、自民党内保守派との深刻な対立を生む可能性もある。それはそれとして、なぜいま五輪ボイコットなのか、バイデン大統領の意向が強く反映されているような気がする。そんな中で備蓄原油の放出論や元共産党高級幹部の不倫疑惑も表面化。支持率が低迷するバイデン大統領の先行き不安説も囁かれている。ボイコット論の誘因は、来年の11月に予定されている米中間選挙だろう。

米中首脳会談の全貌は必ずしも明らかなっているわけではないが、不測の事態を回避するために両首脳が対話継続で合意したとされている。このほかにもさまざまな説が流れている。なにしろ両首脳は3時間半にわたって会談したのである。一説には習近平主席が来年の北京五輪にバイデン大統領を招待したとの説や、大統領が                   備蓄原油の協調的取り崩しを持ちかけたとの説もある。真偽のほどは定かではないが、いずれもありそうな話である。そんな中でバイデン大統領は北京五輪ボイコットについて政権内部で検討している事実を公にした。人権外交を錦の御旗として掲げている同政権にとって、北京五輪のボイコット論はこれまでも燻っていた。だが、大統領がメディアに対して直接検討している事実を明らかにしたのは初めて。おそらく何らかの意図が隠されているのだろう。その意図は何か?

個人的な推測だが、それは備蓄原油の取り崩しに向けた共同歩調の是非ではないか。米国ではこのところ原油価格が急騰、これに連動するかのようにインフレの兆しが強まっている。来年2月の中間選挙はすでに始まっている。原油価格の急騰で庶民の暮らしは苦しくなるばかり。大統領の支持率も低下の一途を辿っている。カマラ・ハリス副大統領をめぐる好ましくない噂も後を絶たない。これに党内分裂が輪をかける。何とかしたいバイデン大統領は首脳会談で原油の取り崩しを提案したが、習主席から色良い返事はもらえなかった。OPECプラスに対する増産要請は瞬時に拒否されている。たまりかねたバイデン大統領は、五輪ボイコット論を公にすることによって習主席に圧力をかけた。これを受けて中国国内の反習派が元高官の不倫騒動を仕掛ける。以上は個人的な妄想に基づく暴論、推論に過ぎないが、五輪ボイコット論の裏で激しさを増す権力闘争。これが権力ゲームの実態だろう。