若干うんざりしてきた「サプライチェーンの制約」という言葉。いつになったら問題は解消されるのか。HSBCのエコノミストは一つのシナリオとして、2022年2月初めの春節(旧正月)連休後を挙げています。中国は春節連休に工場の稼働を停止し、休み明け後も比較的スローに再開するため、そこで輸送の混乱が緩和し始めるという見方です。しかし、カリフォルニア沖では現在80隻ほどの船が入港待ち。昨年の春節後は、待機していた40隻の船が半分に減るのに6週間かかっており、あくまでも一つのシナリオにすぎないようです。実際、HSBCは他にも、来年下期になってようやく落ち着くケース、来年いっぱい続くケースも挙げており、まだまだ頭の痛い状況が続きそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
「上昇圧力」
日本銀行の中川順子審議委員は、海外のインフレ高進が今後、日本の物価にも影響を及ぼす可能性に言及した。6月30日の就任後初のインタビューで、日本の物価動向について「ずっとゼロ%近辺という感じではなく、少し上昇圧力が強まっている」と指摘した。足元の消費者物価は原油価格の上昇や円安の進行などを背景に上昇圧力が強まっているとし、物価動向を注視しつつ、金融政策運営は現行の金融緩和を粘り強く続けていく考えを示した。
リスク抑制検討
欧州中央銀行(ECB)は、信用力の低い企業向け銀行融資のうちリスクが最も高い部分について抑制措置を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。市場を混乱させる要因になりかねないとの懸念が背景にある。それによると、ECB銀行監督委員会は新たに組成されるレバレッジの高い取引について、各銀行のバランスシートの一定割合にとどめるよう制限を設けることを協議した。協議はまだ初期段階で、制限導入を決定しない可能性もあるとしている。
「深刻な懸念」
南アフリカ共和国では、最近特定された新型コロナウイルスの新たな変異株に関する調査が実施されている。ギリシャ文字が付けられるまで「B.1.1529」と呼ばれるこの変異株には異例に多数の変異が生じており、これまでの例と「極めて明確に異なっている」と同国の科学者は説明。ファーラ保健相は「深刻な懸念をもたらす変異株だ」としており、世界に波及し得るとの恐れが強まっている。
記録破り
株式上場投資信託(ETF)およびロングオンリー・ファンドへの資金流入額は、2021年これまでに約9000億ドル(約104兆円)と、過去19年間の合計額を上回っている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)とEPFRグローバルのアナリストが明らかにした。この1年がいかに異例で、記録破りだったかを同データは浮き彫りにしている。低金利のチープマネーに、景気がコロナ禍から大きく回復しつつあることが重なり、株価上昇の環境が整った。個人投資家の熱狂や他に良い投資の選択肢がないことも、勢いを後押しする格好となっている。
予想前倒し
米金融当局は来年、従来の予想よりも速いペースで金融政策を引き締めるだろうと、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらが予想した。インフレ圧力の高まりが背景。ヤン・ハッチウス氏をはじめとするエコノミストは、米金融当局は資産購入の縮小額を1月から倍増させて月300億ドルとし、6月には利上げを開始するとの見方を示した。さらに利上げは9月と12月にも行われ、2023年にも2回の利上げがあるだろうと予測。同氏らはこれまで、来年7月と11月の利上げを見込んでいた。
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