[26日 ロイター] – 欧州株式市場は大幅反落して取引を終え た。ワクチンに耐性を持つ可能性のある新型コロナウイルスの新たな変異株が見つかったことが世界経済に新たな打撃を与えるとの懸念が高ま り、投資家がリスク回避の姿勢を強めたため売り注文が広がった。

STOXX欧州600種指数の下落率は2020年6月以 来、約1年5カ月ぶりの大きさとなった。今週の下落率は4.53%と なった。

南アフリカやボツワナ、香港で確認された変異株についてはほとんど知られていないが、科学者によるとこの変異株は非常に珍しい変異を持ち、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある 。

26日のフランスのCAC40種は4.75%下落。ドイ ツのDAX指数は4.15%、スペインのIBEX指数<.IBEX >は4.96%それぞれ下げた。

サクソバンクの株式戦略責任者のピーター・ガーニー氏は「欧州と 米国北部の一部では、既に多くの新型コロナ感染者や入院者が出て緊迫した状況にある中で、新たな変異株は最悪のタイミングで見つかった」 とし、「この新たな変異株に対してワクチンがどの程度効果があるのかが現時点で分からないため株式はネガティブに反応しており、新たなロ ックダウン(都市封鎖)のリスクが高まっている」と指摘した。

STOXX欧州600種旅行・娯楽関連株指数は8.79 %と急落。下落率は、新型コロナ感染拡大で売り注文が殺到した20年 3月以来の大きさとなった。

英国は26日から南アフリカといくつかの近隣国からの渡航を一時 禁止することを発表し、欧州連合(EU)も同様の動きを計画している 。

旅行・娯楽関連株指数は今週13.62%下がり、業種別で最大の 下げ幅となった。

新たな変異株が見つかった問題を受けて、ユーロ圏の金融市場では 欧州中央銀行(ECB)の来年の利上げ観測が後退。22年12月に1 0ベーシスポイント利上げする確率は今週初めの100%からほぼ半減 した。

ユーロ圏の国債利回りが低下したのが響き、STOXX欧州600 種銀行株指数は6.88%下げた。

一方、テクノロジー株指数の下落率は3.20%にとどま った。